研究課題/領域番号 |
19K02308
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
野村 陽子 沖縄科学技術大学院大学, サイエンステクノロジーグループ, サイエンス・テクノロシ゛ー・アソシエイト (90302794)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 芭蕉布 / 繊維 / 簡易採繊 / イトバショウ / 市町村誌 / 形態観察 / 庶民 / 顕微鏡観察 / 最大繊維幅(繊維の見かけの太さ) / 簡易抽出 / ウー炊き(精練) / 洗濯 / 科学 / 精練工程 / ウー炊き / 伝統 / 保全 / 採繊 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、衰退している芭蕉布生産の保全や改善に、充分に活用されていない科学的手法を用いる。すなわち、芭蕉布生産衰退の原因である、原材料確保から採繊に至る生産工程前半の科学的解析を行い、最適条件の数値化を行う。原材料のイトバショウの簡易な判別法を確立して、原材料として利用可能な潜在量を調べ、並行して、精練など採繊工程について歴史的文献調査と現地での科学的調査を行う。この調査より得られた条件をもとに精練の再現実験を行い、採繊条件の数値化を行う。最終的には研究協力者と充分に意見交換して、結果を冊子にまとめる。この冊子は一般への啓蒙だけではなく、若手職人への技術伝達に役立てられるものを目指す。
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研究成果の概要 |
Covid19の影響で計画を変更したが、芭蕉布(沖縄の伝統的なバナナ布)の将来の応用につながる良い結果が得られた。まず、放置された多数の原材料植物のイトバショウが確認されたことから、生産を左右する原材料不足は伝統工芸用に剪定された植物体の不足に起因することが明らかになった。また、市町村誌の記録を参考にし、伝統法に基づくが職人の技術不要な簡易採繊法を確立した。さらにこの方法により、伝統工芸に適さない生育状態のイトバショウから繊維を抽出した。得られた繊維は伝統工芸の繊維より太かったが、交織布への応用や、例えば酵素処理により、現代の衣料材料への応用が可能ではないかと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
芭蕉布研究では、伝統工芸を基にした、将来の活用に繋がる研究は行われておらず、学術的に意義がある。さらに、庶民のための芭蕉布という新しい視点を持ったことで、他分野へも展開し、学術的な意義が高い。 また、本研究により、高級な伝統工芸品という枠を超えて、より身近な布がイトバショウから作られる可能性が示唆された。この結果は、夏衣用の新しい素材開発に繋がる可能性もあり、社会的意義がある。また、実際に布を手に取ることができれば、伝統工芸に興味のない層が、伝統工芸品の芭蕉布に興味を持つ可能性もあることから、伝統工芸保存の一助となり、社会的意義が高い。
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