研究課題/領域番号 |
19K02321
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
田代 有里 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (10293094)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 餅 / こんにゃく入りゼリー / 咀嚼 / 嚥下 / ゴム弾性理論 / ゲル網目鎖数 / 摩擦係数 / 静止摩擦係数 / TPA / 応力緩和 / 唾液 / 食塊 / レオロジー / テクスチュア / 食品 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、咀嚼・嚥下行動に関わる食品側の要因を、レオロジー(粘弾性)とトライボロジー(摩擦・潤滑性)から解明し、将来的には、高齢者向け食品設計のための根拠なることを目的とする。 2019度から2021年度の3年間で、窒息事故が頻発している餅およびコンニャクグルコマンナンゲルを試料として実施する。機器測定パラメータ(レオロジーパラメータ、テクスチュアパラメータ、摩擦係数、水分含量)と官能パラメータ(咀嚼回数、食塊中の粒子サイズ分布、咀嚼中の唾液分泌量)から、咀嚼・嚥下行動に関わる要因パラメータを特定する。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、餅及びこんにゃく入りゼリーを試料とし、レオロジー的性質の原因となるこれらの食品ゲルの三次元網目構造を解析し、咀嚼行動との関係を明らかにすることを目的とした。 餅は、もち米とうるち米の配合比が異なる試料を調製し、こんにゃく入りゼリーは、多糖類の組成比の異なるゲルを調製して試料とした。これらの試料についてレオロジーパラメーターからゴム弾性理論により、ゲルの単位体積当たりの網目鎖のモル数を算出し、これまでに得られている咀嚼行動パラメータとの関係を調べた。 餅の場合、うるち米配合率が高い餅及び温度が低い餅は網目鎖数が多かったことから、ゲル三次元網目構造が十分に構築されており、また、これらの餅はよく咀嚼してから嚥下していたことから、網目鎖が多いと窒息の危険性が低減されることが明らかとなった。また、うるち米配合率が40%を超えると網目鎖数が急激に増加したことから、この配合率が閾値となっている可能性が示唆された。温度の高い餅は網目鎖数が少なく、この値から推算した咀嚼回数ではよく咀嚼しておらず、窒息の危険性が予測された。 こんにゃく入りゼリーの場合、多糖類濃度の高いゼリーは網目鎖数が多かったことから、ゲル三次元網目構造が十分に構築されており、また、これらのゼリーはよく咀嚼されていても噛み切られていなかったことから、網目鎖数が多いと窒息の危険があることが明らかとなった。一方で、多糖類濃度の低いゼリーは網目鎖数が少なくでも、実際には窒息の危険性があったのは、網目鎖が少ないため離漿によりゲル表面の潤滑性が高まり、咀嚼を要さない無意識の判断をもたらしていることが予想された。さらに、ゼリー表面の静止摩擦係数の嚥下可能な閾値から窒息を回避できる網目鎖のモル数を算出することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、新型コロナウィルス感染拡大防止措置により、出張を自粛せざるを得ない状況であったため、東京都産業技術研究センターでの動摩擦係数測定ならびに動的粘弾性測定の実施が制限された。また、動的光散乱測定も実施したが、温度制御装置が故障したため、データの取得ができなかった。 上記の理由により、全体計画の2/3程度しか研究を遂行できておらず遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度を予定しているため、当初に計画していた試料(餅、こんにゃく入りゼリー)の動的粘弾性測定および動的光散乱測定によるゲル構造解析、さらに動摩擦係数測定を実施する。そして、2019年度からの研究成果の全体をまとめる計画である。
|