研究課題/領域番号 |
19K02366
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
澤渡 千枝 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70196319)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 弾性素材 / バクテリアセルロース / 複合化 / 化学修飾 / 環境 |
研究開始時の研究の概要 |
弾性素材として衣料にも欠かせないポリウレタンは,熱・水分・塩素によって脆化し耐用年数が短いだけでなく脆化物が環境に放出されると5 mm 以下の微細なプラスチックごみとなる.また,ポリウレタンによる皮膚障害も報告されている. 本研究では,バイオマスを資源とし,廃棄後には自然界で微生物によって資源化されるセルロース素材を複合化して,ポリウレタンに匹敵する弾性衣料素材の創出を目指す.試料にはナタデココで知られるバクテリア(酢酸菌)が作るセルロース繊維を基材としてその凝集状態を化学修飾およびその含浸方法の検討により制御し,この素材の限界と可能性を明らかにする.
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研究成果の概要 |
本研究は,ポリウレタンに匹敵する弾性衣料素材を,廃棄後には自然に還るバイオマス資源によって創出することを目指してスタートした. 基材試料にはバクテリア(酢酸菌)に生合成させたセルロース繊維(BC)のペリクルを用いた.自然乾燥後のBCペリクルは硬いシートになるが,1)複合化による乾燥過程での水素結合形成の阻止,2)BC繊維への化学修飾を試みた.結果としてBCとポリビニルアルコール(PVA) 水溶液の複合化後,凍結解凍を経て得た試料において,40%の圧縮変形を20回繰り返した後の弾性回復率が80%を維持した.これによって,ポリウレタンに代替できる素材をセルロースで調製できる可能性が示された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ポリウレタンに代表される弾性素材は,衝撃吸収材や,人工皮革,スニーカーの靴底,ストレッチ衣料素材などの生活材として欠かせないが,化石燃料を資源であること,耐用年数が短く,マイクロプラスチックによる汚染につながること,肌トラブルの心配があることなど,課題が多い.本研究では,自然から生まれ自然に還るセルロース素材を主体とした弾性素材創出の可能性を示した.今後さらに改良すべき課題はあるが,エネルギー問題,環境汚染問題,温暖化問題の軽減に役立つ素材を提案できた.海洋汚染をはじめとする地球への負荷軽減の一助となるだけでなく,皮膚障害のリスクを伴わない快適な衣生活の実現にできると考えている.
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