研究課題/領域番号 |
19K02372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (90198119)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 葉酸 / ホモシステイン / 動脈硬化 / 脂質代謝 / 動脈硬化症 / 骨粗鬆症 |
研究開始時の研究の概要 |
葉酸の欠乏により誘導される血中ホモシステイン濃度の上昇が、脳心血管系疾患、骨粗鬆症、認知症の発症に関連していることが注目されている。しかし、多くは疫学調査をもとにしており、実験的な検証はほとんどなされていない。私達はこれまでに、ホモシステイン代謝において葉酸が重要な調節因子であることを明らかにしてきた。そこで本研究では、ホモシステイン濃度の上昇が疾患発症にどのように関与しているのか、その分子メカニズムを解明し、葉酸の新規機能について実験的エビデンスを明らかにすることを目的とする。そして、ヒトの生涯を通しての葉酸摂取の重要性を提言し、食生活への応用から健康寿命の延伸への葉酸の寄与を明らかにする。
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研究成果の概要 |
ヒト動脈硬化症モデルのApoE 欠損マウスにホモシステイン水を与え動脈硬化病変形成への影響を検討した。血中ホモシステイン濃度の上昇に伴い大動脈への脂肪沈着が増加したが、血中コレステロール濃度に変化はなかった。また、コレステロール食と共にホモシステイン水を与えた場合でも同様であった。 一方で、母親の栄養状態と児の疾患罹患との関連が注目されている。そこで母マウスの葉酸欠乏の影響を解析した。母が葉酸欠乏であった仔では、成獣期までの高脂肪食負荷により肝臓脂質の蓄積が亢進した。さらに普通食の場合でも肝臓脂質量が増加した。以上より、母親の葉酸欠乏が仔の成獣期の脂質代謝にまで影響を及ぼすことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
葉酸は、胎児の正常な発育に必要な栄養素として認知されている。一方、動脈硬化症は、食生活等の生活習慣や加齢によって経年的に進行し、高齢期の生活の質に大きく影響すると考えられる。この変化を葉酸の摂取によって予防あるいは遅延できる可能性を本研究で示すことができた。さらに、妊娠前からの葉酸摂取は、母体自身の健康や胎児・新生児の発育に関係するだけでなく、児の将来の健康にも影響を与える可能性を示すことができた。これらの研究成果は、胎児から高齢者までヒトの生涯を通しての葉酸摂取の重要性を提言し、現代社会において最大の健康問題である各種疾患の予防のための望ましい食生活の設計に貢献できると考えられる。
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