研究課題/領域番号 |
19K02395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 卓治 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (50230694)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 医薬制度調査会 / 撰科 / 専門学校令 / 私立医学校 / 佐多愛彦 / 総力戦体制 / 厚生省 / 医学系専門職 / 医育刷新委員会 / 医学教育刷新案 / 日本産業衛生協会 / 日本医師会 / 医学専門学校 / 歯学専門学校 / 特設高等学校 / 戦後改革 / 医学系専門職養成 / 戦時期 / 占領期 / 高等教育改革 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦時期から敗戦をはさむ占領期までの時期(1930年代半ば~1950年代初め)において、医師、歯科医師、薬剤師という医学系専門職の養成制度について、いかなる改革構想が提出・検討され、どのようにして大学での養成と国家試験による資格付与というかたちに収斂することになったのか、ということを二つの分断――①各専門職間の分断および②戦時改革と戦後改革との分断――という研究状況の克服を目指す大学史・高等教育史の視座から実証的に解明しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、戦時期から戦後占領期にかけて展開された医学系専門職養成制度の改革過程を、各種審議会、行政諸機関と改革過程、および主要人物の動向という三つの局面に注目して解明しようとするものである。 2022年度においては、前年度に引き続き、資料の収集と整理、翻刻の作業を進めながら、いくつかの研究成果を中間報告的にとりまとめ、発表することができた。まず論文としては、医薬制度調査会に注目して総力戦体制のもとで進められた医学教育改革のあり方を検討した。また戦前期から戦時期の医学教育改革にかかわる主要人物の一人である佐多愛彦の思想形成期および研究から社会的活動への展開期について分析し、所属大学の研究科紀要および研究室年報で発表した。また、佐多が学んだ、帝国大学成立期の医科大学撰科の機能についても新たな知見を提示することができた。 学会発表では、教育史学会において上記の医薬制度調査会について報告し、日本教育史学会において専門学校令と私立医学校とのかかわりについて論じた。また、その他の論稿として、『京都大学百ニ十五年史 通史編』の書評を執筆した。 以上の取り組みを通じて、戦時期における医師養成制度改革に向けての展開過程の歴史的道筋について大まかな明らかにすることができたと考える。しかし一方で、新型コロナ感染症の拡大のため、各地の図書館や公文書館での調査を思うようには進められず、とくに占領期にかけての動向についてはまだ十分深めるには至っていない。引き続き取り組んでいきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大およびその影響が残ったことにより、国内外各地の図書館や公文書館等が長期にわたって閉館したり、あるいは閲覧人数や閲覧時間について厳格な制限がかけられたりしてきたため、この間、当初に計画した調査が思うようには進められてこなかった、というのが基本的な理由である。そこで、医学・歯科医学・薬学関係の雑誌を中心に、入手・アクセスできた範囲の資料から整理・分析してその成果の一端を教育史学会や日本教育史学会等で報告し、論文等として発表してきた。その一方で、とりわけ占領期にかけての時期における動向の検討については、一次資料を中心にまだ入手できていないものがあり、十分には分析を進めることができてこなかった。具体的には、①各種審議会(戦前から連続するものおよび新設されたもの)の位置づけや改革構想、そこでなされた議論、②専門学校・大学における教育課程改革、③各界の指導者の基本的な考え方と動向については未検討の部分が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、本研究において計画されながらこれまで十分に進められてこなかった、占領期を中心とした医学系専門職養成制度改革にかかわる資料の収集と分析を行ない、論文等として取りまとめていき、そのうえで年度末には冊子体の最終報告書を作成したいと考えている。 具体的には、①戦時期以来の医薬制度調査会、戦後になって新たな審議会として設置された医学教育審議会および歯科教育審議会などの政策的位置づけと改革構想の解明、そこでなされた議論の分析、②医学・歯科医学・薬学系の専門学校と大学の教育課程改革の解明、③占領期改革に影響を与えた主要人物、とくに GHQ/SCAP において公衆衛生福祉局の局長を務めたクロフォード・サムス(Crawford F. Sams)の資料を調査・収集・分析する。 また最終報告書には、論文等のほかにインターネット上でのアクセスが困難な資料、たとえば医薬制度調査会の議事録などを翻刻し、解題とともに収録する計画である。
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