研究課題/領域番号 |
19K02415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
篠原 岳司 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20581721)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 学校設置者移管 / 町立高校 / 教育ガバナンス / ローカル教育ガバナンス / 奥尻町 / 町立移管 / 教育行財政 / 政府間関係 / 高校統廃合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では都道府県立高校の学校設置者移管を主たる事例に、過疎地域のローカル教育ガバナンスの構造変容を比較実証的に解明する。構造変容を解明するために注目するポイントは、①高校の旧設置者である都道府県との政府間関係の変化、②高校の設置者になることに伴う自治体内の教育行財政の変化、③自治体内外の教育アクターの関係構造の変化である。前記の目的達成を図るために、ローカル教育ガバナンスにおける①政府間関係、②教育行財政、③教育アクター関係の構造変容を解明すべく、3年間でいくつかの自治体を対象に比較実証研究を実施する。最終年度では理論研究に取り組み、4年間の研究成果の公表を進める。
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研究実績の概要 |
令和4(2022)年度は、この2年のCOVID19の影響で主に実地調査研究に遅れが生じていたことから、今年度はその遅れを取り戻す計画で研究を進めた。予定していた複数自治体および学校での調査は、従来から関係を強めていた奥尻町および奥尻高校のデータ収集に加え、大空町および大空高校の調査に着手することができた。また、研究調書において比較研究対象として記載した安平町への訪問が実現し、行政関係者からのレクチャーを受ける等の予備的調査に着手できている。以下にその概要を示す。 ■地方教育行政過程および町立高校の学校経営過程の調査 町立移管を行った北海道奥尻高等学校の学校経営に関わる聞き取り調査および地元奥尻町教育委員会の高校教育行政の変化について、継続的な聞き取りおよび資料収集を進めている。町教育長、学校長、他教職員らへの半構造化面接と、町内で実施された高校の探究学習発表の参観や生徒との懇談機会も得て、学校設置者移管後の高校教育の変化やその特質について多面的にデータ収集を進められた。その一端を記すとすれば、特に離島という特殊環境においてCOVID-19による教育活動の制限の実態は非常に深刻なものがあり、島内の地域との関係性の持続的な発展において困難も確認されたところである。調査を継続する中で離島の高校としての特殊性や困難性がより際立ってきており、今後は町立移管後の学校教育の持続的発展にむけた取り組みを整理し、その特質や課題を教育ガバナンスの観点からをまとめることを予定している。この他、奥尻以外の他自治体への訪問調査が進んだ。北海道で新設された大空町立北海道大空高等学校の学校長および教育行政担当者への聞き取り調査が実現し、奥尻町との比較の上でそのローカル教育ガバナンスの変容過程における新たな特質について析出を試みているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」にも示したように、これまでのCOVID-19の影響による研究の遅れを取り戻す一年であったため、研究計画の全体を振り返れば今なお研究に遅れが生じているとと判断する。加えて今年度は、地元自治体で引き受けた仕事が日常において多くのエフォートを必要とし、その影響で予期せぬ形であったが研究活動に集中することが難しい一年となった。研究の進捗に影響をもたらしてしまったことを反省する。とはいえ、奥尻への調査を継続でき、町立移管後から中期的な変化を確認できつつあることは今年度の成果であり、加えてCOVID-19の影響で実現しなかった他自治体の調査研究にもようやく着手することができた。ローカル教育ガバナンスの構造変容に関するデータ収集について一定の進捗を得られた一年であり、複数自治体の比較の観点から分析を進める準備が整いつつある。全体的な遅れは取り戻せつつあり、そのため、本来であれば今年度が最終年度であったが、COVID-19の影響等での研究の遅れを取り戻し成果をまとめる時間を確保するために、延長申請を行って次年度も研究の継続を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」でも示したとおり、本来であれば今年度が最終年度であったが、COVID-19の影響等により生じた研究の遅れを取り戻し、成果をまとめる時間を確保するために、研究期間の延長申請を行って次年度も研究の継続を予定している。そこでは、奥尻調査のまとめに加え、大空町の大空高校にかかる補足的調査の実施によって、学校設置者移管の別事例の詳細を解明していく。順調に進めば学会での成果発表の他、原稿化を進め論文又は書籍の形で研究成果公表を進めていく予定である。
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