研究課題/領域番号 |
19K02419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡 典子 筑波大学, 人間系, 教授 (20315021)
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研究分担者 |
遠藤 孝夫 淑徳大学, 人文学部, 教授 (70211779)
對馬 達雄 秋田大学, 名誉教授, 名誉教授 (90004118)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ナチス・ドイツ / 沈黙の勇者 / 戦後の再評価 / 政治教育 / マイノリティ救援 / 抵抗運動 / 市民教育 / 戦後評価 / ナチス期ドイツ / 抵抗市民 / 現代的意義 / 無名市民 / 社会包摂 / 自律 / ナチス期抵抗市民 / 自律的思考 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化が進む今日の社会において、広義の政治教育はいっそう重要性を増している。なかでも、多様な他者との協働・共生といった社会包摂の基本理念や、同調圧力に屈しない自律的な思考・行動の獲得は極めて重要である。 本研究は、こうした能力形成に資する政治教育プログラムのプロトタイプを提案するため、戦後一貫して政治教育を重視してきたドイツに焦点をあてる。とくに、近年のドイツで重視される「ナチス期抵抗市民」を題材とした指導に着目し、自国の歴史、それも国家政策や少数の偉人ではなく、民衆の意思と行動を学ぶことが政治教育にもたらす意義を検証する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、前年度からの検討課題(2課題)について、引き続き分析を進めるとともに、新たに着想した2課題についても、検討に着手した。まず前年度からの継続課題は以下の2点である。第一は、救援活動の多様な事例を活動動機、実際の行動、共に活動した仲間の有無、救援対象者の属性などいくつかの条件に沿って分類し、体系化することである。第二は、ナチス時代の救援活動が終戦直後から現代までの各時期において、学校教育・社会教育のなかでどのように位置づけられてきたかを、時期による変遷やその背景要因、教育の担い手など複数の観点から検証することである。これら2課題のうち、第一の課題についてはほぼすべての分析が終了した。現在、研究成果の一部を公表するため、書籍の刊行を準備中である。第二の課題についても、分析作業は7割程度進んでおり、次年度に完了できる見込みである。 さらに令和4年度は、これまでの一連の研究成果を踏まえたうえで、以下の2課題についても新たに検討を開始した。第一は、「ナチス期無名市民」を題材とするドイツの政治教育を、他国との比較においてより相対的に把握しようとするものである。ナチス時代の過去を題材とする「ホロコースト教育」は近年、ドイツや当時の関係国にとどまらず、普遍性のあるテーマとして多くの国で実施されている。こうしたなかで、ドイツの教育にはいかなる特徴があるのか、とりわけ「無名市民」を題材とする教育にはどのような独自性が見てとれるのかを明らかにしたいと考えている。第二はロシアによるウクライナ侵攻がドイツの政治教育に及ぼしている影響の分析である。もともと、「無名市民」を題材とする政治教育は、戦争への反対姿勢を大前提として展開されてきた。それゆえ、ウクライナ情勢に対するドイツの政治方針が、現在の政治教育にいかなる影響を及ぼしているかは押さえておくべき重要な観点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本国内で実施できる作業については、順調に進んでいる。新たに公刊された国内外の研究成果やドイツにおける最新情報等についても、文献などを通じて入手済みである。一方で、新型コロナウィルスの影響により前年度に続き、現地での調査を実施できなかったことは、研究全体の進捗状況に深刻な影響を及ぼしている。現地でなければ入手困難なデータや資料などにアクセスすることは、本研究の最終的な成果にとって極めて重要である。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の予定では令和3年度が最終年度であったが、さらに1年間の期間延長を申請することで、令和5年度に海外調査を実施し、その結果もふまえて研究の総括を行う予定である。幸い、ようやく新型コロナによる行動制限も解かれたことから、令和5年度には予定どおりに研究を進めることができると考えている。
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