研究課題/領域番号 |
19K02435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
坂野 慎二 玉川大学, 教育学部, 教授 (30235163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 教育政策 / 政策評価 / エビデンス / ドイツ / オーストリア / スイス / 教育報告書 / 教育政策評価 / 学校評価 / 教育課程基準 / EBPM / 教育政策分析 / OECD / マネジメントサイクル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ドイツ、オーストリア、スイスにおいてどのように教育政策のPDCAを推し進め、教育政策の成果を高めるためているかのかを明らかにするとともに、検証に用いられている指標と手続きの検証妥当性とその限界を提示し、日本の教育政策検証への示唆を得ることを目的とする。そのために、OECDの教育インディケータ事業枠組みが、各国の基盤となっていることを確認するが、同時にその指標の取り方については、ある程度の多様性があり、その要因を分析する。第二に、憲法や学校法等に規定されている教育の目的・目標を、評価指標と対応関係を分析する。主たる分析対象は学校外部評価、教育報告書、教育課程共通スタンダードとする。
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研究実績の概要 |
究を現地調査及び文献調査による分析を進めた。 ドイツの教育政策分析については、2022年及び2020年の教育報告書、2019年に出版された元MPIB(マクス・プランク教育研究所)グループの『ドイツの教育制度』(UTB)、同じく2019年に出版されたアベナリウスらの『学校法』(Carl Link社)等の文献及びインターネット検索により、かなり必要な文献を入手し、分析を進めることができた。また、コロナ禍の終息により、本研究として初めて現地調査を2023年8月から9月にかけて実施した。研究の成果として、2023年5月には、「ドイツ高等教育の拡大と多元化―医学健康科学領域の専門大学への移行―」を公表した。加えて「教育政策の立案・検証と教育研究―ドイツの事例から―」を日本教育経営学会大会(筑波大学、2023年6月)で、「ドイツ高等教育の量的拡大政策」を日本教育行政学会大会(千葉大学、2023年10月)で、それぞれ発表した。また、「教育政策の立案・評価と教育研究―ドイツの事例から―」及び「小学校高学年における教科担任制導入の経緯―教職員定数改善の視点から―」を2024年3月に執筆した。 スイスの教育政策については、2005・06年の改革の状況について2022年度の学会発表を基に、学部紀要論文「スイスにおける教育政策の検証に関する一考察―連邦制と協調主義における教育権限配分―」をweb上に2023年6月に公開した。 オーストリアの教育政策は、2022年度の学会発表と前後して、2021年から学校の質マネジメントシステム(Qualitaetsmanagementsystem fuer Schulen, QMS)が導入されるようになった。現在、その概要と改正の意義について整理、分析する作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID19の感染が拡大していたため、対象国であるドイツ、スイス、オーストリアへの渡航調査が2022年度までは困難な状況であった。このため文献研究に重点を置いて研究を進めてきた。文献研究は一定の進行をみた。ドイツの教育政策分析については、2022年及び2020年の教育報告書、2019年に出版された元MPIB(マクス・プランク教育研究所)グループの『ドイツの教育制度』(UTB)、同じく2019年に出版されたアベナリウスらの『学校法』(Carl Link社)等の文献及びインターネット検索により、かなり必要な文献を入手し、分析を進めることができた。2023年度はドイツにおける調査を実施し、日本では入手が困難な文献資料等を収集することができた。 スイスの教育政策は、非常に分権制が強いことを明らかにしてきた。教育政策の評価は、教育報告書の作成とEDK(州教育長会議)が2007年に合意したHarmoS協定を26州それぞれに実現に向けて進めていることが確認できる。教育報告書は4年ごとに作成されている。その中心は連邦統計局による教育データの集積と、研究者によるその分析である。同協定の特色である就学前教育2年の義務化は多くの州で実現しつつあるが、義務化に消極的な州もみられる。これらの成果を2023年3月に取りまとめ、web上にも同年6月に公開した。 オーストリアの教育政策は、2021年から学校の質マネジメントシステム(QMS)が導入されるようになった。また、教育報告書が2021年に公表された。現在、その概要と改正の意義について整理、分析する作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
教育政策の検証には多様な視点が必要である。政策立案・実施関係の文書はある程度分析を進めることができたが、研究者の批判的分析、教員や生徒らの視点による評価等の分析を進める必要がある。延長いただいた期間において、以下の方策で研究を深化させていくことを目指す。 ドイツでは、2020年に常設各州文部大臣会議(KMK)に常設科学委員会(SWK)が設置された。これは、研究者が政策を検証し、提言をまとめるための組織である。2021年以降に現在まで8つの勧告・提言等を公表している。 最終年度となる2024年度は、引き続き文献調査を進めるとともに、8-9月にドイツ及びオーストリアへの調査を予定している。これまでの文献調査研究を中心とした分析を検証する予定である。特に教育政策の検証と改善システムについて、中心的に研究を進める。ドイツのIQB(常設文部大臣会議の教育制度における質的開発研究所)、SWK(常設文部大臣会議の常設学術委員会)、オーストリアにおけるQMS(学校の質マネジメントシステム)のデータ集約と分析を行う学校制度質保障研究所(IQS)、スイスのEDK(スイス教育団人会議)等を機能と役割を中心に分析する計画である。 最終的には、ドイツ、スイス、オーストリアの学校教育の質保障システムを比較検討し、日本の教育政策への示唆を提示する。
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