研究課題/領域番号 |
19K02438
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
伊藤 実歩子 立教大学, 文学部, 教授 (30411846)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 探究学習 / 大学入試 / ヨーロッパ / オーストリア / 教育評価 / マトゥーラ / アビトゥーア / ドイツ / コンピテンシー / PISA / 高大接続改革 / アビトゥア / 大学入試改革 / 入試改革 / 記述試験 / 口述試験 / ドイツ語圏 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、次世代の入学試験(高大接続の方法)における記述・口述試験の構想を、ドイツ語圏の入試改革を参照しながら基礎づける。ドイツ語圏の入試を参照する必要性は次のとおりである。 ドイツ語圏の入試は、①中等教育の出口管理による非競争的試験であり、②記述・口述による試験方法が伝統的に実施されている。しかし、③日本とは異なる入試制度でありながら、日本と同様の問題群(評価の客観性、妥当性、公平性をめぐる問題、学生の学力低下の問題)の存在があり、そのために④オーストリアでは新しい入学試験制度を導入しているからである。 本研究では、以上4点を分析の視点としながら取り組むことになるだろう。
|
研究実績の概要 |
これまで、ドイツ語圏の後期中等教育終了資格試験(便宜的に大学入試と呼称)の改革を検討する過程で、ヨーロッパ圏にも対象を広げ、同地域の大学入試の特徴を包括的に研究してきた(伊藤実歩子『変動する大学入試--資格か試験か ヨーロッパと日本』大修館書店、2020年)。その中で、ドイツ語圏ならびにヨーロッパの中等教育終了資格試験において、総合学習あるいは探究学習のような、自分で課題を設定し論文(や作品)を作成し、プレゼンテーションをするといった学習が、中等教育終了資格試験の必須要件あるいは選択要件として設定されていることが明らかになった。 そこで、2022年度は、大学入試における総合・探究学習の可能性をヨーロッパ圏の事例から検討した。その成果は、伊藤実歩子編著『変動する総合・探究学習--欧米と日本 歴史と現在』(大修館書店、2023年3月)として公表することができた。 オーストリアでは、探究学習が大学入試で必須科目となっていること、その前提として、初等教育段階から、合科的な教科(事実教授・Sachunterricht)で「探究学習」(Forschendes Lernen(ドイツ語)/Inquiry based learning(英語))が重視されていることを明らかにした。ほかの欧米の国々でも、探究学習が重視されている傾向、さらに中等教育終了段階、すなわち大学入学に必要な学力として、こうした学習が認識され、かつそれを評価する制度としても設計されていることが明らかになった。こうした視点から、日本の大学入試、とりわけ一般入試とさまざまな入試方法が並立している制度設計を再検討することが可能だろう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、当初の計画以上に進展している。ドイツ語圏の大学入試(中等教育終了資格試験)に関する研究は、同地域に限定することなく、ヨーロッパと対象を広げた成果を公開することができた。その中で欧州の大学入試において総合・探究学習が重要な科目として位置づけられていることが明らかになったことから、欧米の総合・探究学習の源流を歴史的に検討し、かつ現在の実践を検討する発展的な課題に挑戦できたからである。
|
今後の研究の推進方策 |
延長した最終年度は、ドイツ語圏および欧州の大学入試(中等教育終了資格試験)の昨今の改革ならびにその背景にあるPISA、あるいはコンピテンシー理論などを総合的に検討し、まとめていきたい。特に、本研究の中心であるオーストリアのマトゥーラ改革を、コロナ後の2022/23年度から実施されている教育パッケージ改革(初・中等教育改革)と比較して検討していきたいと考えている。
|