研究課題/領域番号 |
19K02442
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁 福岡大学, 人文学部, 教授 (30432701)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 教員養成 / アメリカ / 専門職基準 / アクレディテーション / 専門職スタンダード / 社会正義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、米国における教員養成の標準化と自律性の相克に関して、ミクロ的側面(取組)として専門職スタンダード、マクロ的側面(構造)としてアクレディテーションに着目し、取組と構造の両側面から標準化と自律性の相克を乗り越える総体的特質を解明することにある。両側面から教員養成の標準化と自律性の相克をめぐる実態を捉えることで、単なる個別具体的な取組や構造ではなく、相克を乗り越える総体的特質の解明が可能となる。わが国においても、教員育成指標や外部評価を通した教員養成の質保証が求められている中、相克を乗り越える米国の総体的特質は政策的な示唆を与えるものとなる。
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研究実績の概要 |
本年度は、アメリカにおける教員養成の質保証をめぐる状況の分析を行った。一つは、現在のアメリカにおいて問題となっている教員不足の問題を中心に、その実態を検討した。教員不足の解決の一つとして、教員養成のルートの多様化が見られたが、他方でその質保証のあり方が常に議論になっていることが明らかになった。その際、専門職基準を活用する事例もある。例えば、ワシントン州では昨年度分析した「文化的能力基準」が2021年に改訂されており、すべての教員養成機関(代替ルートを含む)に対して多様性や公正に関わる内容を盛り込むことが求められている。 もう一つは、アメリカにおける教員養成の質保証の議論を日本の文脈に適応する可能性について検討した。その際、コクラン=スミス氏による「アカウンタビリティ戦略」の枠組みを援用し、日本の教員養成質保証制度である教職課程コア・カリキュラム、教員育成指標、自己点検・評価制度を分析した。その結果、基準を遵守した上での大学や地域の自主性・自律性の確保が目指されている一方で、教師教育コミュニティの関与が限定的であることやシステムの形骸化の可能性を確認することができた。また、アメリカで議論されている教師教育における民主的アカウンタビリティに関しては、「強力な公正」の重視や、「知的な専門職的応答責任」の必要性が日本において重要な議論になることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はアメリカ教員養成をめぐる近年の状況変化を整理し、アカウンタビリティの観点から、質保証をめぐる構造的特質に迫ることができたが、他方でアクレディテーションの仕組みに関して、新型コロナウイルスの影響が見られたことから、現地調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、アクレディテーションを受けた教員養成プログラムへの現地調査を行う予定である。その際、アクレディテーションによって標準化が進められているのか、それとも教員養成機関の自律性が確保されているのかという点を中心に、教員養成プログラムの認識に着目して、関係者へのインタビューを行う予定である。
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