研究課題/領域番号 |
19K02462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60288032)
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研究分担者 |
宮本 健市郎 関西学院大学, 教育学部, 教授 (50229887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 愛国心 / ダイバーシティ / ジョセフ・リー / ジョン・デューイ / よい市民 / 社会センターとしての学校 / 多様性 / ソーシャルセンターとしての学校 / 忠誠心 / 国旗掲揚儀式 / 帰化プロジェクト / 忠誠宣誓 / 国旗掲揚 / 愛国心教育 / アメリカ新教育 / プロジェクト / 忠誠の誓い / リクリエーション運動 / リクリエーショ運動 / 学校行事・儀式 / 民主主義 |
研究開始時の研究の概要 |
20世紀初頭から半ば頃にアメリカの学校で行われた学校行事・儀式を対象として、その理念と実際を分析し、その教育的な機能や意義を実証的に解明する。それにより、アメリカにおける愛国心教育の実態に迫り、自国第一主義が台頭している現状の背景を探る。同時に、現在脚光を浴びているダイバーシティ教育の先駆がそのなかで開かれ、今求められている民主主義の教育の基礎となりうることを示す。
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研究実績の概要 |
最終年度であることから、本研究の総括を行った。本研究では、愛国心の教育として遊び場協会の会長を務め、リクリエーション活動を重視したジョセフ・リー、多様性を保証する教育としてジョン・デューイに注目し、それぞれの思想やそれに基づく実践を分析した。その二つを比較して、それぞれが求める「よい市民」について、以下のような、共通点と相違点を明らかにした。 まず相違点としては、愛国心を重視するリーは、人間の本能を解放することが、「よい市民」に直結すると考えていた。それに対してデューイは、子どもの身体を教育の原理としつつ、個々の知性や思考を重視した。また、リーが移民排除とアメリカ化を積極的に推進したのに対して、デューイはそれには非常に慎重であった。さらにいうと、リーが市民の「よさ」を国内に閉じて「よいアメリカ市民」を論じ、それを世界市民のモデルとしたのに対して、デューイは科学の発達に伴う交通・通信の普及に注目し、国境を超えた「よさ」を追求しようとした。 そうではあるが、どちらも学校の教育を学校外にまで広げ、社会と関係づけて論じた点では共通する。リーは、学校にそもそも期待せず、遊び場協会のような社会組織において市民を育成しようとした。ただし、学校には、リクリエーション活動や奉仕活動の一拠点という位置が与えられた。デューイは、教育には制度的側面(意図的・計画的側面)と非制度的側面(付随的・偶発的側面)があり、後者は学校だけでは十分に実現しえないとした。それを補う意味で、学校をコミュニティと結びつけることを説き、「社会センターとしての学校」を主張した。結果的に、リーとデューイの学校像には共通点があったことになる。 このように愛国心を重視する立場と、多様性を重視する立場は、それぞれ独立した主張でありながらも相互に影響を及ぼし、ときに重なりあっていたことを明らかにした。
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