研究課題/領域番号 |
19K02468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浅川 和幸 北海道大学, 教育学研究院, 特任教授 (30250400)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 教育学 / 新たな中等教育原理 / 地方発参加型教育実践 / 地域学習 / 地域アイデンティティ / 高校生議会 / 総合的な探究の時間 / 北海道 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、北海道地方の7地域・7高校の地方発参加型教育実践の事例比較研究を行い、以下の3つのことを明らかにする。 第1に、「地域発のカリキュラム・実践」の開発と同時に進行している行政・議会・市民レベルの「地域づくり」との多様な関係性を明らかにする。 第2に、生徒の学習モチベーションの喚起と「地域アイデンティティ」の形成の関係性を事例に即して明らかにする。特に、生徒にとっての地域像の変化が焦点になる。 第3に、参加型実践の類型(「地域資源を生かしたもの」と「主権者的参加を目的とするもの」)による効果の差異を明らかにする。特に、この2つの実践を同時に行っている高校での関係性の究明が焦点になる。
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研究実績の概要 |
本科学研究事業の研究課題は「人口減少時代における地方発参加型教育実践の比較研究による新しい中等教育原理の探究」である。2つの類型の比較研究を採用している。 第1類型は「地域アイデンティティ」の形成を狙いとした「地域学習」の効果に関する研究である。北海道十勝総合振興局管内大樹町の中学校において「ふるさと学習」と「キャリア教育」を融合した実践が行われていた。この実践を経験した中学3年生にアンケート調査を行い、その成果を2021年度4月発行の報告書としてとりまとめた。前年度の実績で報告した。 第2類型は地方発参加型教育実践の研究である。2020年度以降、「コロナ禍」による緊急事態宣言の発出されていない時期に機関調査を行った。 第1に、十勝総合振興局管内池田町の道立池田高校と池田町役場・議会の連携で行われている「池田町高校議会」の見学と実践後に参加した生徒へのアンケート調査である。これについては、2023年4月発行の報告書としてとりまとめた。「地域への議会を通じたコミットメントが高校生にもたらしたもの―「池田町高校生議会」実践の事例研究報告書―」である。高校・実践担当教員と議会事務局に対する説明と意見交換をおこなった。 第2に、同じく十勝総合振興局管内の鹿追町の道立鹿追高校と鹿追町役場・議会の連携で行われている「鹿追町高校生議会」の関係主体(高校・担当教諭、教育委員会、議会事務局)の調査と高校生議会の見学、実践後に参加した生徒へのアンケート調査を行った。これについては、まだ分析に着手できていない。2023年度に結果をまとめて、高校・実践担当教員と議会事務局に対する説明と意見交換を行う予定である。 科学研究事業の当初計画年度は2021年度に完結予定であった。しかし「コロナ禍」により2021年度も調査の実施、2022年度も一部の報告書作成に止まった。最終年度となる今年度は全体のとりまとめを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究期間の延長を申し出たことに端的であるが、「コロナ禍」による実態調査のほぼ全面的な停止と、最も中心的な研究課題である生徒の参加型教育実践による意識変化を検証するための調査データの入手が困難になった。また、研究代表者自身も新型コロナウィルスに罹患し、2022年度夏季休業中に闘病を強いられた。そのため研究は度々休眠状況になった。 2021年度に実施することができたふたつの地域における参加型教育実践の事例「高校生議会実践」の検討(生徒調査を含む)の片方について、2022年度に研究報告書の作成と高校・実践担当教員と議会事務局への成果還元の説明と意見交換の機会をもつことが可能となった。しかしながらまだ片方に止まった。 そのため2023年度にさらに1年再延長をお願いした。しかしながら、内容的な面で十分な成果は上がっている。このような状況(2年の延長)を考慮し、「遅れている」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の3年間で研究の完遂ができず、2023年度で計2年の延長を申請した。 2021年度に実施可能となったふたつの地域における参加型教育実践の事例(「高校生議会実践」の検討(生徒調査を含む))のうち、ひとつは報告書の作成と高校・実践担当教員と議会事務局への説明と意見交換が可能となった。この過程において、参加型教育実践がもつ生徒自らが参加に誘われる上で重要となる契機について、この事例の範囲であるが判明した。今年度は、もうひとつの鹿追町の「高校生議会実践」の分析と報告書の作成を行う。今年度の後半は、これらを受けて研究課題、とりわけ中等教育が地方自治との連携によって、生徒にどのような意識(地域の担い手としての意識とそれを越える質)を育み得るのかについて研究成果をとりまとめて、事業の完成としたいと考えている。これも「コロナ禍」との状況次第ではあるが、オンラインでの学会発表も含めて、成果を公表する機会もつくりたいと考えている。
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