研究課題/領域番号 |
19K02474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
生澤 繁樹 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70460623)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | プラグマティズム / 探究する公衆 / 真理の仮説的性質 / 指導(者) / 公共性 / アソシエーション / 近代教育 / 現在の経験 / 科学技術 / 常識と科学 / コミュニティ形成 / 国家 / 政治教育 / 情念 / 現在の歴史 / 民主主義 / 教育哲学 / 社会批判 / ネオ・プラグマティズム / ニュー・プラグマティズム / ロバート・タリース / ラディカル・プラグマティズム / チャールズ・サンダース・パース / ジョン・デューイ / コモン・マン / 社会正義 / 生活経験 / 熟議デモクラシー / 公衆の形成 / 人間形成 / 政治理論 / 教育理論 / 教育的正義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「教育的正義」を現実的に構築していく理論的基盤を探るために,社会の組織的・集合的な行為に関わる〈政治〉の実相にせまる社会・政治理論と,人間が人間となり日常を生活し喜びや苦しみとともに成長し発達するという〈経験〉の在り方や諸相にせまる教育理論とをつなぎなおす新たな人間形成論の理論的枠組みを探究するものである。とりわけ本研究では,英米哲学における古典から現代へと至るプラグマティズムの哲学・思想的方法を手がかりとしながら,プラグマティズムが社会・政治理論と教育理論においていかなる重要性をもち,「教育的正義」を再構築するためにいかなる展開可能性と理論的諸課題をもちえているかを検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、社会正義の構築を求める〈政治〉と人間存在にとっての〈経験〉の在り方・諸相の再理解とが交錯する地点で立ち現れる新たな人間形成論の理論的枠組みを構想すること目指してきた。その手がかりとして本研究が着目したのは、古典から現代へと至るプラグマティズムの哲学・思想的方法の展開可能性である。本研究ではここまでその理論的諸課題の検討が作業の中心となってきた。 2022(令和4)年度の研究では、教育的正義という課題から見た社会・政治理論と教育理論双方の課題の整理、またその課題を検討する方法としてのプラグマティズムの哲学・思想の展開可能性の吟味という、ここまでの成果を足場としながら、大きく分けて以下の二つの検討作業を行なった。第一は、前年度までの検討をより精緻なものとするために、プラグマティズムの哲学・思想の検討をさらに推し進め、真理観と政治の問題および物質的・社会的・人間的環境を通じた批判的な公衆の形成についての議論を深めたことである。第二は、当初の研究計画において掲げていた学校改革や教育改革の文脈のなかでの教育的正義をめぐる英米圏の文脈と日本の文脈に固有なプラグマティズムの実践的展開に注目し,〈政治〉と〈経験〉をつなぐ人間形成論のための理論的枠組みと諸条件の解明を試みようとしたことである。教室における民主主義と社会正義の実現や社会批判的教育実践の可能性など、研究代表者のこれまでの成果を土台としながら教育的正義の構築が必要となる課題をより具体的に考察することが、本研究の新たな検討対象となる。本年度の研究からはそのことがいっそう明確となった。さらに上記二点の検討作業は、より精緻な検討を要する課題であることが見えてきたため、次年度の研究にて引きつづき取り組んでいくつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までと同様、国内外の出張や資料調査等々が十分に実施できなかったという制約は依然としてあるものの、対面での大会も徐々に増え、研究課題に関する情報が集めやすくなった。また課題研究などでの研究報告の機会や討論の機会も十分に得られた。本研究の課題解明に資する成果が得られ、研究は滞りなく遂行することができていると評価する。 成果としては、論文・書籍の刊行と学会発表等を進めるなかで、プラグマティズムの歴史的・思想的課題を踏まえた検討にとどまらず、日本的文脈を踏まえた考察を進める必要性が見えてきた。人間形成論を必要とする教育的正義の構築の問題にプラグマティズムがいかなる貢献を果たしうるかという中心問題に答えるための総合的な観点の提示はできなかったものの、理論的課題と実践的課題の双方についての研究をより精緻なものにする必要が見えてきたため、次年度を最終年度として研究期間を延長し、引き続き考察を進めていく。 国際学会での報告機会については計画を一部変更した。ただしその分を、英語論文の執筆や文献調査・資料整理等のための時間に充て、国際的発信に向けた準備を進めることができた。この点においても、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍による研究上の制約がかなり緩和されると予想される。大会への参加・報告、研究会の企画・参加など、国内外にて研究課題解明を遂行するための準備はおおむね整っている。とりわけ次年度では、国外の研究者との交流を活発にさせ、国際的な研究発信や海外での研究機会を増やしていき、研究課題の精緻化に積極的取り組んでいく。
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