研究課題/領域番号 |
19K02479
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野々村 淑子 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70301330)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 医学 / 子ども / 出産 / 救貧 / 家族 / 18世紀イギリス / 出産救貧 / 産む身体 / 産み育てる身体 / 救貧医療 / 出産救済 / 在宅出産 / チャリティ / 医療救貧 / 貧困児 / 生命 / 健康 / 性差 / 身体 / 児童救済 / 18世紀英国 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、子どもの健康、生についての質的向上、女性の身体(産育主体としての身体をもつ母親)像と、家族の役割や家庭像が、特に貧困層の子どもに対する博愛と憐憫を伴いつつ社会秩序維持や感染症予防を目的とした医療救済事業において注目され、それを根拠に事業が展開されていくプロセスを解明することを目的としている。家族や性差・女性の社会史研究、児童保護・救済研究、子どもや産婦に関する医療史研究の領域を横断し、イギリスの教育史(研究)の前提となる、18世紀に「本来的」「自然」とされる子どもや家族、性差の規範の形成過程の解明に取組む。
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研究実績の概要 |
今年度は、土屋敦・野々村淑子編著『孤児と救済のエポック-一六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(勁草書房、2019年)の続編である、同編著による、医学が子どもを対象とした研究、実践が子ども史、家族史、教育史にもたらした状況、その経緯と結果を究明する共同研究学術書を計画し、そのなかの一章を執筆するとともに、編集・執筆方針に沿いつつ序章を入稿したところである。 自身の執筆章は、「一八世紀イギリスの助産救貧をめぐる産み育てる身体の科学化-子どもの生命への配慮と女性産婆」である。本科研の研究課題である子どもの生命・健康への配慮のなかでも、胎児、母体から生まれてくる子どもの生命への関心は、18世紀国民国家形成期イギリスにおいて、男性医師の出産への関与として現象化した。男性産婆と称される彼らの通常分娩への介入は、産婆の性差論争を引き起こす。本研究は、そのような時期に後継者の女性たちのための助言書を記した女性産婆に注目し、新たな科学的助産知を、女性が習得、伝授していくモーメントを読み解いた。それにより、女性の産み育てる身体が、子どもの生命の保護、養育環境として、医学知の対象としての自然として認識されていくプロセスへの女性たちの関与を明らかにした。 序章では、医学、精神医学、心理学の知見が子どもを対象とし、その生命観、発達観、処遇や教育等の対応、制度を変容させていく「真理」として機能していく経緯と様相を、18世紀から20世紀にかけてのイギリス、アメリカ、植民地朝鮮、ドイツ、日本を対象に解明する意義を論じた。前書の「物語批判」を継承し、子どもに関する医学知が形成される場と事象を解明する重要性であり、本科研の延長線上にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やはり、新型コロナウィルス感染症拡大のための渡航困難、史料調査の難しさがあるが、日本ないし勤務校内部で入手できる史料により研究を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、近代公衆衛生制度の先駆とされる18世紀イギリスの無料診療所運動(dispensary movement)のなかで、訪問医療に携わった医者の活動記録(診療記録)から、医学知の子どもの生命、健康への関心と、それをとりまく人々の住まい方、生き方について解明する計画である。 これからの研究推進方策としては、医学知による子どもの生命、健康への配慮が救貧事業として推進されていく経緯について、医者、看護者、事業関係者、寄付者(篤志家)、行政、家族、住民といった多くの人々や組織、団体が、関与しネットワーク化していく様相を通して解明していくことを計画している。そのなかで、ある知が真理とされ、その知をもとに人々の生き方、育ち方、育て方等が規範化、正常化されていく経緯、そこで起きたことを丁寧に明らかにすることを考えている。
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