研究課題/領域番号 |
19K02480
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 名寄市立大学 |
研究代表者 |
三井 登 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (50455002)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 学校衛生 / 養護訓導 / 看護婦 / 養護訓導養成 / 国民学校 / 資格検定試験 / 国民学校令 / 戦時下 / ケア専門職 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、戦時下における養護訓導養成制度の変容(1941-45年)明らかにすることである。変容の契機となったのは、看護婦の払底に起因した国家による看護婦動員の組織的展開の下、文部省が養護訓導必置制の導入による養護訓導の量的確保を図ろうとした点にある。文部省が養成課程の短縮・簡易化に踏み切ったことで、ケア専門職としての質の低下を招くだけでなく、皇民化教育との矛盾も生じたと想定できる。本研究は、ケア専門職(養護訓導、看護婦、保健婦)確保対策、養護訓導養成所設置、養成のための講習会開催、養成所における教育課程について、専門教育、皇民化教育とどのような矛盾を内包しながら展開したのかを検討する。
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研究実績の概要 |
当初計画通り養護訓導養成施設に関係する資料を中心に研究を進めた。養護訓導養成施設の一次資料をもとに、戦時下における養護訓導の量的確保の施策を展開する際の諸課題について検討した。諸課題のうち、養護訓導の早急な量的確保を推進するにあたっての養成施設側の実態に着目した。養成の実態は、養成側の資料の検討に基づいた研究の蓄積が薄いため未解明の点が多い。実態を解明するための基礎的研究として、養成側が提出した文部省申請書類を中心に検討した。日本赤十字社の資料(日本赤十字看護大学史料室所蔵)、文部省の関係資料等、これまで収集した資料に加え、施策の背景を押さえるために学校衛生関係雑誌、医療衛生関係雑誌などの資料調査、医療史関係の先行研究を整理した。日本赤十字社中央病院が提出した文部省への養成施設指定に関する申請書をもとに、養成施設の教育規定、教員組織等について学会で報告した。文部省が養成施設として指定する前から養成の教育課程が規定の上では開始されていた。当時の他の専門職養成、とりわけ養護訓導と同時期に始まった保健婦養成の養成施設が、養成施設指定前から教育課程が実施されていたのかどうかについて調べる必要がある。 また、養護訓導の学校現場における子どもに対する養護の実態(結核対策や家庭訪問など)についても資料を継続して収集した。養成制度導入時期前後に、学校現場で展開している養護の実態がそもそもどのような実態にあり、そのことが早急な量的確保を目論む政策制度とどのような関係にあったのかを明らかにする必要があるからである。学校衛生施策を展開する上で、その学校現場における施策の具現化は養護訓導が担った。特に結核対策が当時の施策の柱のひとつであったことから、養護訓導の実践に関する実態について資料を収集し、その一部を研究会で報告した。 養成制度のもう一つの系である試験検定については今後も調査が必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究期間全体の中で、コロナによる調査ができない期間が複数年あったため、その間に進めることができなかった課題が残されているため。
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今後の研究の推進方策 |
引続き、文部省関係の資料、衛生関係雑誌資料を基礎としつつ、当初計画通り養護訓導養成施設、試験検定関係資料を中心に研究を進める。また、看護婦動員の実態に関する諸資料と、看護婦資格取得者と女性の社会進出との関係から、養護訓導を位置づけるための関係資料の調査を進める。さらに、国民学校での疾病対策の実態と養成制度の関係を明らかにするために、国民学校児童の疾病対策の実態に養護訓導がどのように関わったのかについての資料を調査する。
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