研究課題/領域番号 |
19K02531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 同志社大学 (2021-2023) 長崎大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
見原 礼子 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (70580786)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | セクシュアリティ教育 / ヨーロッパ / イスラーム教育 / オランダ / ベルギー / 欧州評議会 / 多文化社会 / 移民・難民 / イスラーム |
研究開始時の研究の概要 |
ヨーロッパでは近年、セクシュアリティ教育の重要性が改めて認識され、カリキュラムの策定や制度化の動きが進んでいる。社会の構成員の文化的背景の多様化が進む社会においてセクシュアリティ教育を実施するにあたっては、多様な文化的・宗教的価値観をいかに考慮すべきかという問いを避けて通ることはできない。本研究は、世俗的・科学的セクシュアリティ教育が推進されてきたオランダとベルギーのセクシュアリティ教育をめぐるポリティクスを教育政策・実践論の観点と現代移民研究/現代イスラーム社会論の観点から分析することを通じて、社会の文化的・宗教的多様性を踏まえたセクシュアリティ教育の方途を考察することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、セクシュアリティ教育をめぐるポリティクスを教育政策・実践論の観点と現代移民研究/現代イスラーム社会論の観点から分析することを通じて、社会の文化的・宗教的多様性を踏まえたセクシュアリティ教育の方途を考察することを目的としている。過年度までの研究を通じて、教育政策・実践論の観点からの研究については一定の成果を得たが、現代移民研究/現代イスラーム社会論の観点からの研究については新型コロナウイルスの影響を受けて海外渡航が制限され、数年にわたりフィールド調査の実施が困難であったため、研究の遂行に制約が生じた。そこで、研究期間を延長して本年度のフィールド調査実施を目指すこととした。 予定通り、本年度はようやく本格的なフィールド調査を実施することが可能となった。年度の前半は、関連する文献を読み進めながら、フィールド調査に向けた具体的な実施計画を練った。本研究が対象としてきた調査地のうち、オランダについてはすでにある程度の論争点を整理できたので、今回のフィールド調査においては、もう一つの調査地として予定していたベルギーにおけるセクシュアリティ教育をめぐる論争に特に着目し、その論争の内実を深く掘り下げることによって、本研究の問いを明らかにすることを目指した。 ベルギーでのフィールド調査は2月下旬に実施した。現地においては、資料収集を行ったほか、ブリュッセル在住のムスリムコミュニティでのインタビューを通じて、この数年の間に展開されてきたセクシュアリティ教育にかかわる論争をムスリムコミュニティの側からみた現実について、重要な証言および関連データを得ることが可能となった。 帰国後は、これらのデータを整理、分析し、完成間近の単著における重要なチャプターの一つとして位置づけるべく、執筆作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過年度までは新型コロナウイルスの影響により海外渡航ができない状態が続いていたことから、オンラインでフィールドとつないで聞き取りを行うなど、代替手段による研究活動が続いてきた。そのため、フィールド調査を主たる研究方法として位置づけてきた本研究においては、少なくない制約に直面してきた。本年度は、ようやく海外渡航が可能となり、これまであたためてきた仮説をもとに、現地でのインタビューおよび参与観察を行うことができた。フィールド調査で得られた資料やデータの内容は予想を上回るものであり、過年度まで執筆を続けてきた単著の一部を加筆修正する必要も生じたが、これは単著における議論のより発展的な展開を可能とするものでもあり、次年度にかけて丁寧に議論を深めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述のとおり、フィールド調査を2月に実施したことから、そのデータ整理・分析ならびにそれをふまえた単著の完成に向けた最終作業に要する時間が必要となった。そのため、研究実施期間を再延長して、次年度を最終年度として本研究課題の集大成となる書籍化に向けた作業を継続することとする。 また、2024年春に開催されるEuropean Academy of Religionの学会パネルへの招聘を受けることになったため、その場において本研究課題の知見を発表し、ヨーロッパのイスラーム/ムスリム/ジェンダー研究者らとの意見交換・議論を通じて、単著の議論をより深めていくことが可能になると期待される。
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