研究課題/領域番号 |
19K02535
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
小針 誠 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (90388067)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 国立・私立小学校 / 家族の教育戦略 / 社会階層 / 学校経営 / 多様性 / 教育改革 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、国立・私立小学校を志望する家族の社会階層、教育意識・志望理由の変容が学校組織や学校経営に与えた影響を、この20年の定点観察を通じて明らかにする。申請者が2000年に実施した国立・私立小学校を志望する保護者対象の質問紙調査に新規の項目を追加した質問紙調査を2020年に追施、両者を時系列的に比較し、小学校受験層の社会階層や教育意識の変化を捉える。この20年の間、学校を取り巻く環境は大きく変容し、学校に対する保護者の教育期待や要望は著しく多様化した。私立小学校のなかには、志願者がほとんど減少しない学校の一方、存亡の危機に直面する学校も少なくない。
|
研究実績の概要 |
2021年度(令和3年度)は、新型コロナウィルスの感染拡大や緊急事態宣言等の発出などの様々な制約のなか、以下の研究に取り組み、研究計画の遅延を部分的に取り戻すことができた。 第一に、2000年から2020年に至る日本の小学校(初等教育機関)の量的変動を時系列(時間軸)、学校設置者、地域の3点から分析し、それを論文にまとめた。 多くの地域では、少子化による学齢人口と統廃合などにより学校数が大幅減少しているのに対して、東京都に限っては、「人口の一極集中」を象徴するように、児童数、学校数ともに増加の傾向が確認された。なかでも都心部における超高層マンションの建設に伴い、一部の公立小学校では過大規模化が進行している。さらに、小学校の設置母体や教育理念の多様化は、私立小学校のみならず、初等教育全体に波及していることを明らかにした。 第二に、当初計画では2020年4月から7月を予定していた質問紙調査「国立・私立小学校の入学志向に関する実態調査」を1年遅れで実施した。本調査は、2021年4月から7月の間におこなわれ、首都圏・関西圏36の幼児(受験)教室を経由して、子どもを通わせる保護者2,260名に配付、645通の有効回答が得られた(有効回答率28.5%)。その分析結果の一部は日本教育社会学会第73回大会において、2000(平成12)年調査の結果と比較しつつ、この20年間の入学志向や家族(社会階層)の変化について概要を報告した。 第三に、本研究課題に関連して、現代の教育改革についても、批判的に検討、発表した。今次の学習指導要領における「主体的・対話的で深い学び」の実施に当たって、その実践上・政策上の問題や課題について、井上義和氏と対談した(井上義和×小針誠「国策アクティブ・ラーニングの何が問題か」井上義和・牧野智和編『ファシリーテーションとは何か』ナカニシヤ出版社所収)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の主目的のひとつであった質問紙調査「国立・私立小学校の入学志向に関する実態調査」を実施し、国立・私立小学校の入学を志向する保護者より645通の有効回答を得ることができた。しかし、目下のところデータの分析中で、研究成果についても単純集計を中心としたアウトラインを明らかにしたまでで、当初の計画通りに進捗しているとは言い難い。最終年度に当たる2022年度は、研究計画の遅れを取り戻すことを目標に、踏み込んだデータ分析や考察を通して、論文の発表を最優先に進めていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発出に伴い、当初の研究計画に遅延が生じている。 計画の遅れを取り戻すべく、最終年度に当たる2022年度は、質問紙調査のデータ分析とその研究発表(学会報告や論文発表等)を中心に行う予定である。質問紙調査のデータ分析は、まず保護者の入学志向について、国立・私立小学校の入学希望と公立学校に対する忌避意識の両方を明らかにし、家族についても、おもに児童の出身階層である保護者の社会階層(学歴・収入・職業)や世帯収入などを明らかにしていく。その際に、2000(平成12)年に実施した同名の調査結果との時系列な比較を通して、2000年から2021年に至る約20年間の入学志向と家族の変容について明らかにする。また、この分析結果は日本教育社会学会の学会大会や学会紀要等を通じて発表していく予定である。さらに、それらの研究成果をまとめて、単著として刊行することを計画している。さらに、質問紙調査のデータ分析に加えて、保護者への面接調査などを実施して、数字による傾向だけでは見えてこない保護者の教育意識なども詳らかにしていく予定である。
|