研究課題/領域番号 |
19K02547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
石川 裕之 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (30512016)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 才能教育 / 教員養成 / 教員の資質能力開発 / 韓国 / 教員研修 |
研究開始時の研究の概要 |
才能教育とは「特定の分野・領域で優れた能力を示す子どもを対象として、その能力を最大限に伸長するためにおこなわれる特別な教育的措置の総称」を指す。韓国では約2万5,000名の教員が公的な才能教育機関で勤務し実際の教育業務を担当しているが、その大半は一般学校の教員の兼務である。そこで本研究では、才能教育担当教員に求められる資質能力の内容と、それらを向上させるためのプロセスを支える体制の全体像を探る。
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研究実績の概要 |
本研究の5年目となる令和5年度は、前年度に実施した韓国における現地調査の成果を分析・整理することに重点を置いて研究活動を進めた。その結果、以下のことが明らかになった。韓国における公的な才能教育機関の教育対象者数は近年減少を続けていた。その要因としては、第1に母集団となる児童生徒数自体が少子化の急速な進行によって減少していること、第2に2010年代はじめ以降高校無償化等の政策に押されて才能教育政策が退潮局面に入り予算が削減されていることが考えられた。特に才能教育体制の裾野を支える英才学級の対象者減少のペースは他の才能教育機関と比べて突出しており、地方自治体における才能教育関連予算削減において英才学級が主なターゲットとなったことを反映していた。ここから、韓国の才能教育体制の量的縮小は才能教育体制の裾野の縮小によるエリート主義的色彩の強化というかたちで進行していることが明らかになった。さらに、小学校教員養成課程を開設している大学の教育大学院を対象に、才能教育関連専攻の設置状況や教育の目的・内容等について検討したところ、教育大学院の多くに才能教育関連専攻が設置されていることが確認できた。公的機関が提供する職務研修の機会とは別に、才能教育担当教員の資質能力・専門性向上のための大学院レベルの教育の機会が提供されていることは、才能教育の質保証にとって重要なことであると考えられた。一方で、才能教育関連専攻の分野は数学・科学教育関連分野に大きく偏っており、開設科目も教科教育を中心とする構成となっていることが分かった。才能教育関連専攻に所属する教員についても教科や教科教育を専門としており、才能教育に関する専門性が低い可能性が示唆された。なお、本研究課題の成果を盛り込んだ図書(共著)を『現代韓国の教育を知る』(明石書店、2024年)として公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による一昨年度までの進捗の遅れが影響しているため。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査によって、政府系シンクタンクや地方教育行政当局が実施する研修の内容等について把握し、才能教育担当教員の資質能力開発体制のうち公的機関が担っている役割の実態を明らかにする。その上で、これまでの研究活動を通じて明らかになったことを総合的に検討し、本研究課題の総まとめをおこなうとともに、研究成果を公表する。
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