研究課題/領域番号 |
19K02553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
額賀 美紗子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60586361)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 移民女性 / 子育て / 家族 / 親子関係 / 支援 / 国際比較 / ジェンダー / 階層 / 移民第二世代 / 移民家族 / アイデンティティ / 複合的困難 / コロナ禍 / ウェルビーイング / 教育機会 / 移民の子ども / バイリンガル教育 / 市場型教育改革 / 排外主義 / マイノリティ言語 / 多様性 / 親の教育関与 / 家族支援 / 家族ー学校ー地域の連携 / 文化的に適切な教育 / アメリカ / 家族-学校-地域の連携 / 日米比較 / トランスナショナリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、アメリカのモデルケースに示唆を得ながら、日本社会で移民の親の教育関与を支えるための反同化主義的な<家族ー学校ー地域連携モデル>を提案することである。日米のフィリピン系と中国系移民家族を事例に、移民の親の教育関与の多様な実態とメカニズムを解明し、学校と地域のネットワークにおいて移民の親の教育関与を促す文化的・構造的条件について明らかにすることを意図する。このため日本とアメリカでフィールド調査を行う。
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研究実績の概要 |
本年度の研究実績は以下に集約できる。第一に、10年以上にわたってラポールを築いている移民第二世代の若者の追跡インタビューを実施した。コロナ禍を経て親子・親族関係にどのような変化が生じているか、ケア役割とトランスナショナルな関係性の視点から分析した。この結果は、日本教育社会学会の共同発表の一部として報告した。 第二に、継続的に通っている育児サロンでの参与観察を断続的に実施し、移民第一世代の母親たちの子育て意識や、子育てにおいて直面する困難について考察した。サロンのコーディネーターの協力を得て、インタビューに参加してくれる移民第一世代の母親のリストを作成した。パイロット調査をもとにインタビューガイドを作成し、次年度にインタビューを実施する体制を整えた。暫定的な分析結果を、UK-Japan Student Conferenceと東京大学とストックホルム大の交流会議でシンポジスとして発表した。 第三に、高校教員に対するアンケートとインタビューデータをもとに、教員が外国人保護者とのコミュニケーションにおいて経験する困難を考察した。通訳制度が整っていないケースが多く、文化的・言語的障壁による意思疎通が難しい状況が明らかになった。この結果は調査報告書の一部として執筆した。 第四に、年度末に韓国でフィールド調査を行い、移民女性への支援を行う家族支援センターや市民団体のほか、ソウル市と中央政府の多文化教育センターにおいてインタビューを実施した。「多文化家族」を単位とした韓国の支援政策について理解を深める機会となった。 第五に、以前より実施していた日本人の母親の子育て意識と実践についてのデータ分析をまとめ、共著で書籍を刊行した。階層とジェンダーの視点から日本人母親の子育て格差を論じたものであり、移民女性の子育てとの比較視点を提供する知見として今後活用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は移民第二世代の若者の継続調査および移民女性の子育てと支援体制にかかわる多様なデータを日本及び韓国で収集し、暫定的な分析結果を国内外の学会やワークショップで報告することができた。また、ジェンダーとエスニシティの視点から日本人女性の子育て格差 を分析して書籍にまとめたことによって、移民女性の子育てを比較分析する枠組みが明確になった。 一方、予定していたアメリカへの渡航がコロナ禍によって中止を余儀なくされ、計画を変更する必要があった。また、複数のプロジェクトに従事して時間的な余裕がなかったことなどから、移民女性のインタビューを実施することができず、インタビューガイドと協力者のリストを作成するにとどまった。予算の残高が生じたため、研究実施期間を1年延長することにした。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、育児サロンを中心に移民女性のインタビューを遂行し、ジェンダー、階層、エスニシティの視点からデータを分析する。特に、日本の学校教育との関係で、彼女たちが経験する障壁とそれへの意味づけに注目し、学校と地域社会における支援のありかたを考察する。 第二に、韓国現地調査のデータを整理し、韓国における移民女性および多文化家族に対する政策の特徴を、日本との比較視点から考察する。日韓は文化的価値観に関して共通性がみられるが、トップダウンで急速に移民統合政策を進めている韓国の事例は日本における移民女性や子どもの包摂を検討する上で参考になる。このため、韓国で追加調査を行うことも検討する。
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