研究課題/領域番号 |
19K02579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
香曽我部 琢 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (00398497)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ワークエンゲージメント / NIRS / TEA / 子ども理解 / 長期就業 / ポジティブ感情 / 保育士不足問題 / 保育者効力感 / 保育者 / 就業継続 / ワーク・エンゲージメント / 組織コミットメント / リーダーシップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、離職が少なく、長期的に就業を継続する保育者が多い園に着目し、その園の保育実践の質も把握した上で、保育者たちがどのような関係性を築いてきたのか、そのかかわりの経験や出来事を包括的に捉え、そしてそこで生起する感情を明らかにする。とくに、仕事に対する活力や情熱などのポジティブな感情であるワーク・エンゲージメントに焦点を当て、その形成プロセスを巨視的・縦断的な視点で明らかにする。そして、その知見をもとにリーダーシップと同僚性を育む研修プログラムを開発することを目指す。
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研究実績の概要 |
保育者が、自らの仕事にやりがいを感じる要因の一つとして、遊びや生活の中で、子どもの成長を感じ取れた経験があげられている。そこで、本研究では、保育者がどのようにして子どもの成長を読みとっているのか、保育者に求められる重要な専門的資質の一つである『子ども理解』の熟達化のプロセスに焦点を当てて、研究を行った。 特に今年度は、保育者が子どもを理解するプロセスについて、写真を刺激素材としてNIRSを用いたインタビューと実験を行い。そこで得られた言語データをTEA(複線径路等至性アプローチ)によって質的に分析した。さらにNIRSで得られた前頭部分の血流動態については右・中央・左の3か所について分散分析を行い、熟達/初任群、自園写真/他園写真の有意差について明らかにした。 その結果、熟達群と初任群で有意な差が存在すること、自園写真と他園写真にも有意な差があることを明らかにすることができた。また、TEM(複線径路等至性モデル)による質的な研究についても、熟達群と初任群、自園写真と他園写真とで、子どもへの理解のプロセスにそれそれ特性を見出すことができた。 「子どものシグナルに気づき、的確に解釈し、適切かつ敏速に応答する」専門的な資質は「敏感性」と呼ばれて、特定の養育者の愛着形成を予測する変数として研究が進められてきた。今後は、この敏感性についても本研究の変数として採用し、保育者の敏感性の違いが子どもを理解する資質にどのような影響を与えるのか。そして、さらにワークエンゲージとの関連性について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データをサンプリングする段階に進めることができたものの、まだ、十分なデータの量と質が担保されていない状況である。とくに、複数の保育園でのNIRSとTEMによる混合研究法を用いたデータサンプリングが必要となる。また、子どもを理解する専門的資質が、ワークエンゲージメントを高める要因となることが示唆された。子ども理解に対する敏感性に関する先行研究などについてシステマティックレビューを進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ対策の緩和を受けて、後半はかなり研究を進めることができた。しかし、まだデータをサンプリングしている状況である。来年度の前半にデータを集めて、保育者のワークエンゲージメントを高める要因となる「子どもの成長や発達を読み取る」力を保育者がどのようにして熟達化させていくのか質と量の両面で明らかにしていく予定である。また、子どもの成長や発達を共に喜び会えるような関係性や職場風土を、保育者達が生み出している状況や背景に関して研究を進めていく予定。 子どもの成長や発達を読み取ろうとする指向性のことは敏感性などと呼ばれる。この敏感性に関する先行研究についてのシステマティックレビューを進めていき、変数として用いていく。
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