研究課題/領域番号 |
19K02599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
上田 麻理 (平栗麻理) 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (70786409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 高周波音 / 空中超音波 / 耳介 / 頭部伝達関数 / 聴覚閾値 / 可聴域 / 音響計測 / 子ども / 誤差 / 身の回りの高周波音 / 超高周波音 / 環境騒音 / 可聴閾値 / 生理反応 / ストレス / 不快感 / 若齢者 / 計測・評価 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの高周波上限可聴周波数は,一般的に20 kHz以下といわれ個人差はあるものの20 kHz付近の音は聴こえないか或いは,聴こえた場合もかな り感度が悪いというのが長らく一般的な認識とされてきた。ISO389-7でも上限周波数は16 kHzまでである。高周波音に対するヒトの感度は個人 差・年代差が大きい。特に子どもや若齢者は高周波音に鋭敏で,中高年者が全く聴こえない音や聴こえ難い音に対しても強い不快感などの心理 ・生理的悪影響への危険性が懸念されている。そこで,本研究では子どもや若齢者の高周波の聴こえのメカニズム解明及び,心理・生理的影響 を明らかにし,高周波音の計測方法の確立と対策の指針を構築する。
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研究実績の概要 |
一般的にヒトの上限周波数は20 kHz程度と言われているが,子どもの中には28 kHzを検出できる者も確認されている[1].しかし,20 kHzを超えるVHF音(very-high-frequency sound)の系統的な研究を少なく,高周波音がどのように伝わるのかという聴覚メカニズムは明らかになっていない.聴覚器は側頭骨に覆われた観測しがたい位置にあるため,人の聴覚器を用いた計測では,測定可能部位も限定される.また,VHF音の人体への影響は不透明な部分も多く,人を介した実験が難しい条件も少なくない.そのため,可能な範囲で人体模型(HATS)を用いた音響計測[2]で代用してきたが,VHF音の聴こえは聴覚器の大きさや形状等の影響を受けるため,多くの聴覚器について検討することが必要となる. そこで本研究では,HATSを用いた音響計測の代用として,多数の耳介形状等の検討が可能な数値解析による検討を試みた.その第一弾として,3D-FDTD法による数値シミュレーションを用いて,成人と子どもの外耳道の大きさ・形状の違いについて検討した.3D-FDTD法を用いた数値解析により,成人と子どもの外耳道の大きさ・形状の違いがVHF領域の聴取音圧に与える影響について検討を行った.鼓膜位置の音圧レベルの周波数特性に着目して計算結果を整理した結果,成人と子どもの外耳道の長さの違いがVHF領域の聴こえに影響を与えている可能性が示唆された.また,成人の外耳道の形状の違いはVHF領域の聴取音圧に数dB程度の差を生じさせることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高周波音研究の昨今のボトルネックとなっている要因の一つとしてばく露可能なデバイスが市場にないことが挙げられる.スーパーツイーターは世界的に廃盤になる傾向があり高音圧で高周波音をばく露した実験や測定ができにくくなっており,本申請研究においても苦戦を強いられた.解決策としてばく露デバイスの自作に至った.現在高音圧で20 kHz近郊の音が歪なく出力可能なデバイスを製作しており,完成すればさらに研究の発展が見込まれる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,実際の形状や大きさの外耳道を対象に数値解析を行い,VHF領域の聴取音圧についての知見を蓄積するとともに,より精度の高い数値解析により外耳道の音響特性についてさらに検討を進める.また,開発した高音圧での高周波音出力デバイスの音響計測を行い,ヒトに対する閾値の計測を行う.
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