研究課題/領域番号 |
19K02621
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
奥村 典子 聖徳大学, 教育学部, 教授 (90648669)
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研究分担者 |
大塚 紫乃 江戸川大学, メディアコミュニケーション学部, 准教授 (30735684)
齋藤 有 聖徳大学, 教育学部, 准教授 (60732352)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 家庭教育 / 母親学校 / 母親学級 / 婦人団体 / 婦人教育 / 母親学校研究会 / 家庭教育学級 / 母親教育 / 戦後教育改革 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、家庭教育・子育て支援研究が盛んな一方で、その歴史的検証は十分とはいえない。保護者のニーズに応える家庭教育・子育て支援のあり方を議論するためには、その歴史と内在する問題点を丁寧に検証することは不可欠である。 そこで本研究では、戦後教育改革期における家庭教育施策とその施策の受け手であった母親のオーラルヒストリーから、当時の施策が当事者の子育て意識に与えた影響を明らかにしていく。具体的には、家庭教育施策の実態と育児に対する意識構造を明らかにするために、その実施状況に関する資料(公文書、議事録、新聞等)収集と、当時の母親のオーラルヒストリー収集という2つの作業から検討するものである。
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研究実績の概要 |
戦後教育改革期に文部省・内務省が中心に推し進めた母親を対象とする家庭教育支援事業の実情を把握するため、コロナ禍のためこれまでに実施できなかった分を含めた全国調査を通した史料の収集・分析を行うことを令和4年度の研究計画として掲げていた。 しかしながら、感染者数の全国規模での増加が令和4年度前半期も継続し、研究に不可欠な一次資料の全国規模での調査・収集を実施することができなかった。したがって、令和4年度前半期は前年度に引き続き、オンラインで閲覧・収集が可能な限られた資料を用いた分析・検討とならざるを得なかった。感染者数に落ち着きが見られ始めた夏以降の後半期には、調査が可能な地域での資料調査を開始した。その結果、昨年度実施した子育て経験のある高齢女性(80歳以上)200名を対象としたインターネット調査での結果を裏付ける一次資料の収集につながり、戦後教育改革期に山梨県と愛知県で開催された母親向けの家庭教育講座の実態を描き出すに至った。 一方で、当初から予定していた子育て経験のある高齢女性(80歳以上)を対象とした対面でのインタビュー調査は、コロナウイルス感染防止のため実施することが出来なかった。 令和4年度の成果として次の3点をあげることができる。第一に、山梨県・愛知県では、母親を対象とする講座として学校を拠点とする文部省主催の母親学校と公民館や病院等を拠点とする内務省主催の母親学級の2つが併存しており、母親たちはいずれか、あるいは両方の講座に地域単位で参加することが要請されていた。第二に、両県では、文部省が推奨する母親学校研究会発行の書物をテキストとして使用しており、また母親たちに同会発行の『月刊母親学校』の購読を奨励していた。第三に、それぞれの講座を修了した母親たちは指導者としての役割が課せられ、地域の家庭に対し、政府が謳う新たな家庭教育の方針を普及することが期待されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」でも述べたように、感染者数の全国規模での増加が令和4年度前半期も継続し、研究に不可欠な一次資料の全国規模での調査・収集を実施することができなかった。したがって、令和4年度前半期はオンラインで閲覧・収集が可能な限られた資料を用いた分析・検討とならざるを得なかった。感染者数に落ち着きが見られ始めた夏以降の後半期になって、調査が可能な地域での資料調査を実施するに至った。 また、当初から予定していた子育て経験のある高齢女性(80歳以上)を対象としたインタビュー調査は、コロナウイルス感染防止のため実施することが出来なかった。なお、オンラインでのインタビューへ手法の切り替えも検討したが、対象者の年齢をふまえると、機器の扱いや調査環境の整備に困難があると判断した。 以上の理由から、コロナ禍でも可能な調査・分析へと変更を試みたが、当初予定していた研究計画を遂行することはできていない。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度が最終年度であったが、一年研究期間を延長した。5月以降にはコロナ対応が大きく変更となることから、可能な限り研究の遅れを取り戻すことに専念する計画にある。 調査対象地域の各種機関が所蔵する資料の公開・閲覧可否の状況を引き続きこまめに確認し、順次、資料の収集・分析を行うことで、これまで明らかにしてきた成果の補完に努める予定である。 本研究は、歴史資料に基づく戦後教育改革期における家庭教育施策の動向を描き出すと同時に、その施策の受け手であった母親たちのオーラルヒストリーから、当時の施策が母親たちの子育て意識に与えた影響を明らかにすることを目的としている。これまではコロナウイルス感染防止の観点から、調査対象となる高齢女性(80歳以上)に対する対面でのインタビュー調査ができない状況にあった。しかし、コロナ対応の新たな段階への移行を見ながら、令和3年度に実施したオーラルヒストリーの予備調査結果を踏まえて、選定した地域において研究代表者、研究分担者、研究協力者が分担して各5名のオーラルヒストリーを収集し、データ化する計画にある。集めたデータは、その都度全員で検討し、確認や詳細な情報が必要な部分を整理し、同一対象者に複数回の面接を依頼、実施する。得られたデータについては、修正版グラウンデッドセオリーを用いてデータに密着した概念生成を行う。 研究成果をWorld Education Research Associationで公表し、諸氏の批判を得ることで、更なる応用展開を図り、報告書を刊行する。
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