研究課題/領域番号 |
19K02635
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
小尾 麻希子 武庫川女子大学短期大学部, 幼児教育学科, 准教授 (30735022)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 兵庫師範学校女子部附属幼稚園 / 「明石附幼プラン」 / コア・カリキュラム / 明石女子師範学校附属幼稚園 / 及川平治 / 「生活單位ノ保育カリキュラム」 / 「明石附属幼稚園プラン」 / お茶の水女子大学附属幼稚園 / 津守真 / 「子どもを理解する」 / 実践記録 / 教育計画 / 徳島大学学芸学部附属幼稚園 / 保育内容 / 生活経験 / 「のぞましい能力」 / 「5才児の能力表」 / 単元「新しい幼稚園のおうち」の計画 / IFEL / 幼稚園カリキュラム / 戦後日本 / 国立大学附属幼稚園 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、学校教育法の制定から「幼稚園教育要領」(1956)刊行に至るまでの国立大学附属幼稚園における研究と実践に焦点を当て、そこで作成されたカリキュラムの特質と10年間に及ぶ縦断的なカリキュラムの開発過程を、現存する当時の資料に基づいて明らかにすることにある。1年次から4年次には、本研究の対象とした5つの国立大学附属幼稚園のカリキュラムや研究資料、実践記録等の収集にあたり、その精査を行う。5年次には、「保育要領」の趣旨やIFELからの示唆、小学校のカリキュラム研究、国の指し示した幼稚園教育改革の方向性等を踏まえて、戦後10年間にわたる幼稚園カリキュラムの成立過程について明示する。
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研究実績の概要 |
4年次の研究では、昭和23年7月に発表された兵庫師範学校女子部附属幼稚園における「明石附幼プラン」の特質とその歴史的意義について明らかにすることを目的とした。 研究の結果、明らかとなったのは次の2点である。 (1)「明石附幼プラン」は、これまで、コア・カリキュラムの考え方に学んだ幼稚園カリキュラムの先駆として注目されてきた。しかし、本研究で検討した結果、同プランの単元と経験内容(「楽しい幼児の生活」)には、コア・カリキュラムから得た知見だけでなく、同園において開発された戦前の「生活単位ノ保育カリキュラム」及び昭和22年度の生活単元保育案を基礎とした点が確認された。同プランの歴史的意義は、コア・カリキュラムの考え方を援用したことに留まらず、戦前・終戦直後期の生活単元保育計画を基礎としつつ、生活単元保育計画から幼稚園生活全体の「総合計画」へと転換していくことを試みた先駆事例であったことにある。 (2)「明石附幼プラン」の単元内容構成については、社会機能別単元と年中行事・季節的なことを折衷したものと批判されてきた。この批判は、同プランがコア・カリキュラムの構成法に立脚した幼稚園カリキュラムであることを前提になされたものであったが、実際のプランでは、コア・カリキュラムの構成法によって「能力」を分析するという方法は採られなかった。同プランの単元は、①近郊での社会観察とその模倣遊び、②自然観察・自然体験に基づく生活活動(飼育栽培活動)や製作遊び、③季節的な遊びとその探究活動(遊び道具の製作や相談)、④発達段階を考慮した集団遊びや協同遊び、⑤時機を捉えた生活問題や年中行事、⑥以上の過程における表現活動(唱歌・遊戯・リズム)や談話・話し合い等の活動から成り立っており、わが国の伝統的な保育内容構成方法を礎としていたことが解明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間の研究を通して得た以下の研究成果を踏まえ、本研究全体の目的達成に向けて概ね順調に視点していると認められる。 (1)徳島大学学芸学部附属幼稚園及びお茶の水女子大学附属幼稚園の実践資料に基づいて、戦後教育改革期の幼稚園における教育計画研究と実践の特質を明らかにした。 (2)昭和23年7月に発表された戦後日本の進歩的幼稚園カリキュラムの先駆「明石附幼プラン」の特質とその歴史的位置づけについて新たな知見を提示した。
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今後の研究の推進方策 |
5年次に推進する研究は以下のとおりである。 (1)幼小の連続性を企図して編成された「明石附属プラン」における幼稚園カリキュラム(「明石附幼プラン」の編成原理と実践の様相、教師らが直面した課題等について明らかにする。 (2)「保育要領」刊行から「幼稚園教育要領」刊行へと至る時期の国立大学附属幼稚園(3幼稚園)におけるカリキュラムとその開発過程を比較検討し、共通性と相違性を明示する。 (3)国立大学附属幼稚園3園におけるカリキュラムとその開発過程が、戦後日本の幼稚園カリキュラム史にどのような歴史的意義をもつものであったのかを解明する。
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