研究課題/領域番号 |
19K02648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 東京大学 (2022) 聖徳大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
椨 瑞希子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任研究員 (30269360)
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研究分担者 |
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50221958)
藪中 征代 聖徳大学, 教職研究科, 教授 (50369401)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 家庭的保育 / 多文化 / 外国にルーツをもつ子ども / イギリス / ドイツ / 第二言語 / 多文化化 / 移民 / 外国にルーツを持つ子ども / チャイルドマインダー / 評価改革 / 保育の質 / 多言語 / 日英比較 / 子ども理解 / 言葉の発達 / 絵本 / 開発教育 / 家庭的保育者研修 / 多文化家庭支援 / 言語教育 |
研究開始時の研究の概要 |
新たな外国人材受入れの制度が発足し、日本語習得に困難がある「外国にルーツを持つ子ども」の増加は必至である。状況は、労働力の不足を移民で補った英独の1960、70年代と似ている。 社会の多文化化が進む過程で、保育は多文化共生に向けてどのような役割を果たすことができるか。役割遂行に必要な保育者の知識・技量は何か。それをどう形成するか。 本研究では、日本に先がけて多文化化した英独の言語教育、家族政策の歴史的経緯と帰結を明らかにし、よりよい多文化家庭支援策の資料とする。多文化家庭の子育てを支える地域づくりに向けた家庭的/小規模保育事業者の研修プログラムを作成して試行し、事業者の知識・技量向上に資する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、①英独の文献調査に基づいた学会発表、②令和3年度に実施した家庭的保育者の意識調査結果に関する学会発表を行い、③国際研究集会を開催した。 ①文献調査に基づいた学会発表:研究代表者の椨は、保育学会第75回大会において、イギリス労働党政権下で家庭的保育が施設型保育と同等に位置づけられた過程と要因を検討し、地域ごとに組織された家庭的保育者の互助ネットワークが国の質保証制度確立に果たした役割の重要性を明らかにした。研究分担者の小玉は、ジェンダー史学会第19回大会において「幼児教育と母なるもの」と題した発表を行い、ドイツ社会における母性と保育制度整備の関連について歴史的検討を行った。 ②家庭的保育者の意識調査に関する学会発表:調査は、外国にルーツを持つ子どもを保育した経験の有無と多文化状況のもとで行う保育に対する考えを問うものであった。椨と研究分担者の藪中は、欧州幼児教育学会(EECERA;グラスゴー市ストラスクライド大学)において、生産年齢人口の減少を背景として、家庭的保育の多文化化が進んでいる状況を報告した。また、国際幼児教育学会第43回大会(オンライン)において、家庭的保育者の困難感を取り上げ、多文化保育の課題を提示した。 ③国際研究集会:東京大学教育学部附属CEDEPとの共催で、ロンドン・アーリー・イヤーズ財団の経営責任者June O’Sullivan氏による国際講演会(オンライン、同時通訳付き)を開催し、ロンドンの困難地域における保育の多文化状況、それに対する実践的配慮、ならびに社会的資源としての保育の重要性について語ってもらい、参加者との交流を深めた。資料はCEDEPのホーム・ページに公開した。令和3年度に行った研究集会(グルニエ氏による講演「多文化社会イギリスにおける幼児教育の変革」)の記録に解題を付けて、聖徳大学教職研究科紀要『教職実践研究』に収めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
日本においては新型コロナ感染症予防の観点から、依然として対人調査活動は困難であり、予定していた希望者を募って行う家庭的保育者を対象とする研修活動が実施できなかった。 研究代表者をはじめ分担者それぞれに研究時間の確保が困難な事情が生じ、文献資料に基づいた研究や質問紙調査データの分析などが、まとまった成果として公表できていない。 当初、本研究課題で実施する予定であった研究内容は、コロナ禍によって計画の変更を余儀なくされたが、変更後の内容を遂行できていないために、遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
再延長期間を活用して①収集した文献資料に基づき、英独の多文化化と家族支援に関する論考をまとめる。②家庭的保育者調査結果の分析を進め論文にまとめる。③引き続き、国内外の学会において成果発表を行う。令和5年度5月の保育学会では、イギリスにおける家庭的保育の質保証体制が直面する課題を報告する。8月の欧州幼児教育学会(EECERA)では、日本における家庭的保育者/小規模保育事業者の外国ルーツ児の保育経験と意識に関する質問紙調査の結果を取り上げ、自由記述欄に現れた保育者の多文化保育を充実させるうえでの創意工夫と知恵について報告する。どちらの学会についても、発表要旨は提出済みである。
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