研究課題/領域番号 |
19K02674
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
磯田 三津子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10460685)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 国際クラブ(民族学級) / 在日コリアン / 在日外国人児童生徒教育 / 多文化共生教育 / 外国人集住地域 / 外国につながる子ども / 多文化共生 / 外国につながりのある子ども / 文化に対応した指導 / 社会正義 / 総合的な学習の時間 / 音楽授業 / 外国人児童生徒教育 / カリキュラム / 小学校 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、外国人集住地域の小学校の外国人児童を配慮して編成されたカリキュラムを収集し分類することを通して、日本の外国人集住地域に所在する小学校のカリキュラムと教育実践の実際について、その特徴を明らかにする。本研究では、分類したカリキュラムの特徴に基づいて、日本の外国人集住地域における外国人児童生徒教育の特質について論じる。そして、特徴のある小学校を複数校取り上げ、カリキュラム及び、その教育実践を考察する。その際には、米国のカリキュラムに関する理論を整理し、その理論に照らし合わせながら、日本の外国人集住地域における外国人児童生徒教育のカリキュラムの特徴について整理し、モデルを示す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、在日外国人教育に関する教員組織のあるいくつかの自治体に出向き、実践記録集等の収集を行った。ここで収集した資料等に基づて「国際クラブ(民族学級)」が設置されている大阪市の外国につながりのある子どもたちが多く暮らす地域の小学校について研究を行った。「国際クラブ(民族学級)」とは、在日コリアンをはじめとした外国つながりのある子どもが学ぶ放課後のクラスである。本研究では、在日コリアンの子どもたちが通う「国際クラブ(民族学級)」を対象とした。2022年度は、「国際クラブ(民族学級)」でパフォーマンスされている民族芸能に着目し、その学習が在日コリアンの子どもたちにとってどのような意味があるのか、そしてそのパフォーマンスを鑑賞する日本人の子どもが学んでいることは何かについて明らかにすることを目的とした。 上述した研究の目的を明らかにするために、今年度は、次の二つの手続きに従って研究を進めた。第一は、「国際クラブ(民族学級)における音楽学習の意味について大阪市立の小学校に関する資料及び、民族講師に対して実施したインタビュー内容を検討した。第二は、民族学級における音楽活動についてアイデンティティ・ポリティクスに関するいくつかの考え方について文献を参照し、その意義と限界等について明らかにした。 上述の手続きに従って考察した結果、次の2点が明らかとなった。 第一は 民族学級においてプンムルやサムルノリといった韓国・朝鮮の民族芸能が、子どもたちと韓国・朝鮮とのつながりと、その価値の認識を促すことを通して、在日コリアンとしての自分自身への理解を深めることができることである。第二に、プンムルやサムルノリを学ぶことは、肯定的な民族アイデンティティを形成することにつながり、自己を肯定するために重要な意味があるということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、外国につながりのある子どもたちが多く暮らす地域の小学校の実践事例や教師の実践記録について収集することができた。特に、いくつかの自治体の在日外国人児童生徒教育の研究会及び、全国在日外国人教育研究集会(鳥取大会)への参加などを通して、教師の報告を聞き、教育実践の現状について理解を深めることができたのは重要な成果である。 一方、コロナ禍によって本来2021年度に準備し、2022年に論文を執筆する予定であった資料をようやく2022年に収集しはじめることができたという状況である。このように、資料収集が遅れていたため、資料を検討し論文を執筆するのに1年ほど当初の計画より遅れている。同時に、コロナウィルスの影響で小学校の授業等を十分に参観できる状況となっていないことなどがあり調査を進めることができなかった。以上の理由から、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカでは、多様な民族や人種で構成される学校でどのようなカリキュラムが構成されているかについて、五つのアプローチに整理し説明されている。その五つのアプローチとは、「例外的であり文化的に違いのある子どもへの指導」「人間関係アプローチ」「単一集団学習アプローチ」「多文化教育アプローチ」「多文化的な社会正義をめざす教育」(Grant, C. A. & Sleeter, C. E., 2013)である。アメリカでは、このように多様な民族や人種で構成された学校のカリキュラムを調査し整理してきた。アメリカにおける先行研究のように、カリキュラムを整理しそれぞれの特徴を明確にすることは、そこで展開されている教育実践にどのような意味があるのか、その位置づけや課題を把握することを可能にする。 これまで、日本において数多くの外国につながりのある子どもたちをめぐる教育実践が展開されてきた。2023年度は、2022年度に収集した教師の実践記録等の資料を考察し、アメリカの先行研究に依拠し、いくつかのアプローチに分類する。そして、小学校における外国人児童生徒教育の教育実践の現状を把握する。そして日本の在日外国人児童生徒の優れた点と課題を明らかにする。その結果を手掛かりに、今後の日本の在日外国人教育をより良く発展させていくためのモデルを提案する。
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