研究課題/領域番号 |
19K02682
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
槇原 茂 島根大学, 学術研究院教育学系, 特任教授 (00209412)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | 市民革命 / 歴史教科書 / イギリス / フランス / 中等教育 / ブルジョワ革命 / シティズン / 近代 / 社会科 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本の歴史教育において「市民革命」として取り上げられている歴史事象が、革命の母国であるイギリスやフランスの中等教育の歴史教科書においてどのように記述されているのかを明らかにする。各国の教科書を分析する上で、近年の歴史研究の成果、教科書制度、教育内容への国家の関与、さらには欧州連合や欧州評議会の教育政策をも視野に入れた考察をおこなう。 そして、これらの考察に照らしながら、日本の教科書の「市民革命」像は今後も維持されるべきかどうか、維持されるとすれば、どのような側面や観点が重視されることが望ましいかといった点を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究では、戦後歴史学における「市民革命」論の前提とされていたマルクス主義的なブルジョワ革命論が否定されるようになったにもかかわらず、現行の学習指導要領、歴史教科書において「市民革命」概念や用語が使われ続けている現状について疑問を呈した上で、英仏両国の歴史教科書の分析もおこなった。その結果、「市民革命」概念・用語を引き続き用いるためには、「ブルジョワ」ではなく「シティズン」が主役になる民主化プロセスの起点として定義しなおし、新たな共通理解を構築していく方が望ましいという結論にいたった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歴史学の専門研究ではもはや通用しなくなった「市民革命」概念が、学習指導要領や教科書においてほとんど無批判に用いられ続けているという両者の間のギャップについて焦点を合わせ論じた。歴史学と歴史教育・社会科教育学の狭間でほとんど不問に付されてきた問題に取り組んだ点に意義がある。さらに英仏の歴史教科書の記述も参照した上で、以下のように提言した。今後「市民革命」の概念・用語が使われつづけるためには、新たな定義が試みられるべきでないか。その場合、世界史における民主化プロセスの起点として、ジェンダーや奴隷制の問題も視野に入れ論じる必要があるだろう。
|