研究課題/領域番号 |
19K02789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
岩男 考哲 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (30578274)
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研究分担者 |
宮地 弘一郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (40350813)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 教材分析 / 児童 / 言語的課題 / 語彙 / 児童の言語的課題 / 特別支援 / 言語 / オノマトペ / 絵本 / 形容詞 / 習得 / 小学校 / 国語 / 国語教科書 / 小学生の言語的課題 / 主語(主題) / 表現の工夫 |
研究開始時の研究の概要 |
中央教育審議会答申や全国学力・学習状況調査等によって,小学生の抱える言語的課題が明らかにされている。国語教育の分野では,この課題に対していかに対処するかといった議論は行われてきているが,その課題の原因を探るという観点からの議論は十分に行われていない。一方,言語学・心理学の分野では,子供の言語習得能力を探る研究は盛んに行われているが,上記の課題の解決に直接資するような研究となると未だ十分には行われていないのが現状である。こうした現状に鑑み本研究では,小学生の言語的課題の原因は何かを分析し,その結果を踏まえ,その課題を解決するためにはどういった対応が可能かを日本語学・心理学の観点から考察する。
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研究成果の概要 |
本研究が当初に抱えた課題は,小学生の抱える言語的課題の原因を探るというものであった。その課題とは小学生間に語彙の質に差が見られること,主語・述語等の文構造の理解力に差があること,である。こうした課題に対して本研究は,低学年向けの絵本や教材の徹底した調査を行った(新型コロナウイルス蔓延により,児童の対話場面の調査が行えなくなり,教材分析に注力せざるを得なくなったためでもある)。その結果,対象年齢が低くなるほど,より現場依存的(辞書等に登録されていない「臨時的」)な表現が多用されることを明らかにした。こうしたことから,子供の言語的発達は現場依存から現場独立というモデルが想定されていると推測できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
低年齢向けの教材には現場依存的あるいは対者の支えが必要な言語表現が多用されることが明らかになった。この結果から,小学生の抱える言語的課題の原因の一端が説明できる。小学校へと入学し,子供たちは「個」としての対応を受けづらくなる。一方,彼らが触れる言語表現もより状況非依存的なものへと変化する。子供たちの間の言語理解の差が生じる原因とは状況依存から非依存への言語表現の質的変化についていけないことであり,「個」として受けられていたはずの支援の不在もそれに拍車をかけている。この指摘によると他者に比べ言語理解が劣る児童への対応は「個」によるものが望ましいということになる。教育面において重要な指摘と言える。
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