研究課題/領域番号 |
19K02807
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
時得 紀子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30242465)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 音楽授業 / 領域横断的 / 教員養成 / 音楽科授業 / 領域横断 |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀型能力育成の国際的潮流から、日本でも教科領域を横断させた各学校独自のカリキュラムが展開されている。現状の実践例では、教科横断的な資質・能力の育成にとらわれるあまり、音楽科本来の知識・技能の習得が十分になされない傾向も見られる。そのため、教員養成に学ぶ学生が、音楽科ならではの見方・考え方を十分に培うことがこれまで以上に求められる。 世界各国で音楽学習に活用されてきた音楽教育メソードに基づく授業や、周辺芸術領域(舞踊、演劇、美術)との比較を通じて、音楽の本質を探るカリキュラムに取り組む欧米の教員養成大学の音楽授業プログラムへの現地調査等を手がかりに、日本の音楽授業プログラムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
前年度は社会情勢に配慮しつつも、海外の現地授業調査に赴くことができた。当該年度はこれら現地調査から得られた情報を礎とし、日本における授業への試行に注力した。具体的には海外ではメジャーとされ、教育現場でも多用されている、ドイツのAbleton(エイブルトン)社の音楽創作ソフトを日本の小、中学校に活かした授業を試み、その成果と課題の分析に取り組んだ。(1)小学校では、4、5、6年生を対象とした。このAbleton社の教育用無料公開ソフトにより、児童がドラム、ベース、コード、メロディを自在に組み合わせながら、ポピュラー音楽の組み立て方を理解できるようになること等を目指した。授業前と授業後の後のアンケ―ト調査から、児童の音楽構造への理解、意識の変化を探ったところ、8割以上の児童に理解の深まり、意識の変化が見られた。(2)中学校2年生では、「理科」「音楽科」「美術」の領域横断により、Ableton社の音楽創作ソフトを活用した学習を試みた。身の回りの物質を構成している、原子や分子の基本的な概念を理解した後、各自が好む原子や分子を選び、それをイメージした画像や動画を作成した。さらにドラム、ベース、コード、メロディを生徒が自在に組み合わせ、動画のBGMを創作した。理科が苦手な生徒も、音楽や動画など、芸術的な視点からの創作アプローチにより、原子への興味・関心が高まる傾向などが示唆された。 これらの成果を2023年韓国ソウルにて開催された、APSMER(The 14th Asia-Pacific Symposium for Music Education Research) 並びに、鳴門教育大学にて開催された、The 11th China-Japan Teacher Education Conference の各国際学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍を経て、海外における実践の現地調査に赴くことができたことは、情報収集において一定の成果をあげることができた。 その一方で、収集したインタビュー調査、映像資料、教材等の資料を分析し、日本の教育現場の環境の中で、領域横断的な視点から授業づくりを構築し、開発や評価をしていくことに多くの時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までは、オンラインを活用した海外の授業実践の情報収集に取り組むと共に、オンラインによる連携をはかりながら、現地に赴いての調査にも取り組んだ。 これらの情報を活かし、今後は国内において、社会情勢に配慮しながら対面による授業実践を引き続き推進していく方策である。 2024年度7~8月は、国際音楽教育学会ヘルシンキ大会(フィンランド)での口頭発表、及び、FullPaper(全文論文)が採択されており、現地での開催に出席する。この大会では、世界各国が注力する、STEAM教育などの研究発表、ワークショップにも参加し、本研究に活かす情報収集にも取り組む。
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