研究課題/領域番号 |
19K02834
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
李 修京 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10336927)
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研究分担者 |
権 五定 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (30288641)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 相近(convergence) / 交互(reciprocity) / 共生努力 / アイデンティティ / 在日コリアンルーツ住民 / 民族と国民 / 情緒的帰属意識 / 普遍的共生欲 / 協定永住権 / 国籍離脱 / 特別永住権 / 多文化共生 / 共生権 / 社会構成員 / 地域住民 / 法的地位 / 互恵(reciprocity) / 帰属―離脱症候群 / 参政権 / 排他(構造) / multiculturalism / 歩み寄り / ザイニチ・アイ デンティティ / 相近(Convergence) / 互恵(Reciprocity) / 帰属・離脱症候群 / 民族教育 / 交換的選択 / 在日コリアン / 文化的アイデンティティー / 排他的構造 / 共生 |
研究開始時の研究の概要 |
在日コリアンの民族教育は、教育が行われる情況、教育の実践、学習者のアイデンティティの発達が連動的・因果的に相互作用する中で行われる。それを分析して在日コリアンの民族教育の排他的構造の変化を明らかにする。 在日コリアンの民族教育は、①終戦と民族教育の出発~教育闘争、②朝鮮・韓国戦争と反共体制の強化、③日韓国交正常化、④1990年代以後の日本・コリア半島・在日コリアン社会の新たな関係の展開を経て行われ、①~④毎に排他的構造が変わってきたとみられる。本研究ではこの仮説的見方を確認した上、多文化共生社会の構築、学習者の文化的アイデンティティの発達とつながる論理を見出したい。
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研究成果の概要 |
在日コリアンが民族教育を始める段階では、祖国への漠然とした情緒的帰属意識はあったものの、民族的・集団的同一性意識は薄かったと言える。民族教育への弾圧と抵抗の過程でアイデンティティに目覚めるが、在日コリアン社会が分裂し、祖国との関係や交流によるアイデンティティの揺れや、同族・祖国に対する「帰属―離脱症候群」を抱くようになる。以後、意識的に「在日アイデンティティ」の定立に努めるようになるが、これは、日本社会への「相近」の努力であり、共生を求めるものであった。アイデンティティの変化に伴い、在日コリアンの排他的属性も、潜在的離脱欲;反日;同族・祖国への疑念;普遍的共生欲に変化してきたのが確認できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アイデンティティは排他的な集団的属性の表れであり、共生を妨げる要素と見られてきた。しかし、今回の研究を通して、アイデンティティは固定した集団的属性ではなく、教育(学習)を通して普遍的価値の共有を目指して変化・発達していることが確認されており、アイデンティティ発達は、相近(convergence)・交互(reciprocity)努力を同伴し、共生能力の形成に繋がるという一般化を導き出すことができた。この一般化は、民族・国民といった集団的属性の強化を図って、反日―嫌韓のような排他的意識・行動を触発する政治的動きに反省を促す理論的根拠の提示にもなると考えられる。
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