研究課題/領域番号 |
19K02868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 札幌学院大学 |
研究代表者 |
石川 千温 札幌学院大学, 経済経営学部, 教授 (90285495)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 機械学習 / 退学予測 / エンロールマネジメント / python / クラウドサービス / IR分析 / e-learning / Python / 人工知能 / IR / 学修成果 / 可視化 / エンロールメントマネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
現在、国内の大学で行われているIR(Instutional Research)の機能を、単なる大学の意思決定や学習成果の可視化を目的とした調査、分析だけに留めず、学生の修学指導や様々な学生支援に活用できるようにする。具体的にはAIの機械学習の技術を用いて、大学における学生の学修状況の把握と分析、とりわけ、退学、休学、不登校等の問題状況を早期に察知し、予測するためのシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
2022年度の研究進捗状況には、かなりの進展が見られ、年度後半に向けて、情報処理学会への論文投稿を実現できるほどの成果が見られた。2021年度においては、学生の学修データの分析において、そのほとんどがExcelやPowerBIなどのアプリケーションを用いて行っており、機械学習の分析に着手することが実質的に難しい状況であった。機械学習に最適なPython言語の使用も試行的に試してはみたが、思うような結果が出ず、研究の進捗的には遅れていた。 しかしながら、2022年度から、精力的にPythonプログラムの改良と試行を繰り返すことで、学生の学修データの分析で最適な手法の発見、および最適なパラメータの導出、さらには、学生の退学予測を行うためのエンロールマネジメントシステムのプロトタイプの開発に至ることができ、それまでの導出過程とプロトタイプの検証結果について、情報処理学会論文誌デジタルプラクティス得集号「ITと教育」(2023年4月掲載)に論文が掲載されることが出来た。 今回の掲載論文では、IRデータで集められた様々な学生の学修データのうち、LightGBMという機械学習モデルが有効性が高いことを見出し、そのモデルによって、学生の退学に寄与する要素のうち、極めて高い要素を抽出することに成功し、その要素を使って、退学予測を行うプロトタイプのアプリケーションを構築した。また、このプロトタイプで、実際に2018年度の入学者(2021年度末卒業)の退学予測を行い、実際の退学状況と比較して、本システムの有効性を検証した。 その結果、本システムの予測の精度が、ある程度は良いことがわかったが、ただ、学生の学修指導を行うエンロールマネジメントシステムとしては、予測精度をあげた場合の対象者数の拡大とのトレードオフが発生することが判明し、この点においては、実際の運用でどの程度の予測精度が最適なのかを検証する必要性があることが、課題として残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Python言語を用いた機械学習によるエンロールマネジメントシステムのプロトタイプの開発はひとまず完成している。このシステムの実際的運用を行い実用上有効かどうかの検証を行う必要がある。一方、これまでの取組のなかで、本来目的としていたクラウドを活用するシステムの構築は、個人情報や情報漏洩の流出の恐れなどから一旦中断しているが、安全性の高いクラウドサービスを選択する、安全性の高いセキュリティー対策を施すなどの対策を万全にすることが求められる。現状ではまだその手法の確立には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在において構築された退学予測を行うエンロールマネジメントシステムのプロトタイプを、実際の学生の修学指導現場に導入し、多くの教職員の利用における評価、問題点の抽出を実施する。また、クラウドサービス活用に関しても、セキュリティ対策を万全に行えるサービスの選定、様々なセキュリティレベルで必要な制度的、物理的対策を見出せれば、現在の閉じたシステムではなく、広く活用できるサービスとして実現可能と考えられる。 また、これからの新たな取組に関して、さらに論文にまとめ、継続的に公表を続ける。
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