研究課題/領域番号 |
19K02893
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
|
研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
福石 賢一 高知工科大学, 共通教育教室, 教授 (60294485)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 汎用的能力 / 専門知 / 工学 / ケンブリッジ大学 / 歴史 / カリキュラム / 進路 / イギリス / 職業教育 / 教育課程 / ライフヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
現在の日本では、これまで特定の学問・職業分野に関わる専門的知識・技能の習得を主たる目的としてきた職業専門高校や大学の各学部においても、汎用的能力の習得が重視されるようになってきている。本研究では、現代の汎用的能力の概念を構成する各要素に通じる教養教育の数百年にわたる伝統を持つケンブリッジ大学において職業世界との新たな関係の形成を企図して創設された同大学工学部の教育課程や卒業生の経歴等を調査することにより、職業世界と関係の深い専門知を取り扱う教育機関の学部・学科等における汎用的能力の教育の効用や課題について考察する。
|
研究実績の概要 |
本研究課題4年目となる本年度は主に以下の三点に関して調査研究を行った。 第一に、昨年度学会にて発表を行った『英国人名辞典』(Oxford Dictionary of National Biography)に「技術者」として掲載された1871年から1920年生まれの者たちの社会的出自や大学教育歴の時系列的変化について分析を行った結果を『高知工科大学紀要』において論文として公表した。 第二に、ケンブリッジ大学における工学教育の方針や特徴の調査研究に関する研究を行い、研究会で発表を行った。具体的には、1891年に同大学機械・応用力学教授に就任し、1892年の同大学工学(機械科学)優等学位コース創設に貢献し、以後1903年まで同職にあって同大学の工学教育に尽力したJ・A・ユーイング(Ewing)における「大学(とりわけケンブリッジ大学)における技術者養成」の意義やあるべき姿についての考えを、同教授の就任講義("The University Training of Engineers")に依りながら考察・整理した。その結果、同大学の工学(機械科学)は技術者養成に関わるものでありつつ同大学で教育研究されるに相応しい学問であるべきこと、大学における技術者養成は徒弟修業と組み合わされて初めて完結することなど、彼の同大学における工学教育に関する思想の一端が明らかになった。 第三に、同大学における工学教育の方針や特徴の調査研究に関連して、ユーイング以降の同大学工学教授の著作物や同大学の工学教育に関係する新聞記事やその他関連の書籍・論文等の二次的資料について調査・収集し内容の整理を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続き新型コロナウィルス感染状況の改善が見られないなか、本研究における主たる手続きであるイギリスにおける一次史資料及び二次資料の蒐集及びその内容の整理・分析が進められず、また国内調査についても活動が制限されたため、当初の計画通りに研究を進めることができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
まずケンブリッジ大学工学優等学位コースの教育の方針や特徴に関する調査研究を進めていく。当面は手元資料、ILL等により入手可能な資料、インターネット経由で利用可能な資料・情報を用いて調査研究を進めつつ、新型コロナウィルスの感染状況を見極めながら国内調査並びに海外調査を実施していく。同時に、本年度が本研究課題の最終年度に当たるため、これまでの研究の整理を行うとともに、日本の現在の状況・議論と比較しつつ、職業専門学科等の教育における汎用的能力の意義について考察し、報告書をまとめる。
|