研究課題/領域番号 |
19K02906
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
後藤 隆章 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (50541132)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 読み書き障害 / 読みの代償的方略 / 遠隔教育 / 発達性読み書き障害 / 語彙 / 日本人学校 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、多文化・多言語環境下で発達性読み書き障害が存在する日本人学校でも適用可能な読み支援教材を作成し、その効果について検討することである。はじめに語彙理解の促進が読み処理の促進に与える影響について検討する。つぎに語彙理解の促進が認められた支援手続きを遠隔教育で適用可能な内容に調整し、支援手続きを整備する。そして、日本人学校における発達性読み書き障害児を対象に、その効果について検証を行う。
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研究実績の概要 |
これまで発達性読み書き障害児が示す読み困難の背景として、音韻情報の操作や処理の困難が指摘されており、音韻操作能力の向上を目的とする支援が行われてきた。一方、単語全体のまとまりに基づいた読み処理を行うことで、単語の読みが改善される事例が報告されており、その背景に読みの代償的方略が関与するとされている。日本語における読みの代償的方略の形成に関する研究では、単語の意味情報の処理を先行的に行うことでその後の単語の読み処理が促進されることが認められている。 本研究では、語彙理解に困難を示す発達性読み書き障害児に対して語彙サイズの向上を図り、読み課題における意味処理が最大となる支援条件を明らかにする。その上で、遠隔教育で適用可能な読みの代償的方略の形成を目的とする支援教材を開発する。開発した遠隔教育型読み支援教材に関しては、通級指導教室の発達性読み書き障害児を対象に支援実施に伴う効果判定の基準を明らかにする。そして、専門的支援にアクセスするための制約があるとともに、外国につながる子どもも含まれるなど学習困難を引き起こすリスクが多様である学習集団において発達性読み書き障害を含む学習障害を対象に支援を行なった。 2022年度は、前年度において試行的作成した支援教材を遠隔指導で用いられるように改訂するとともに、プリント教材として活用できるように調整し、支援を行なった。対象児の実態に合わせて、語彙支援に加えて、音韻処理の向上を目的とする支援も含め、その効果について検討を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、日本人学校のような専門的支援が得られにくい遠隔地で読み書き支援ニーズを示す事例に対して、遠隔教育システムを用いた読み書き支援教材の開発とその効果の検証を目的としていた。 2022年度では遠隔教育による読み書き支援教材の内容を語彙支援に加えて、音韻処理の向上を目的とする課題を付与して実施し発達性読み書き障害に対する効果的な支援の整備を図った。特に作成している読み書き支援教材は、同時双方向型のオンラインシステムにおいて活用できるように課題設定を行うとともに、個々の漢字の学び方に応じて学習が進められる ように最適化できるものとした。 一方、前年度に引き続き、新型コロナ感染症の影響により、当初、研究協力がえられていた日本人学校がある外国への渡航ができず研究実施体制の構築が遅れ、不十分であった。
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今後の研究の推進方策 |
日本人学校への支援実施に向けて研究体制を構築を進めるとともに、日本人学校と同様に外国につながる児童が多く通う日本国内の小学校への読み書き支援を実施し、支援効果の検証を進める。外国の日本人学校における遠隔支援体制の構築にあたっては、特別支援教育を専門とし、現地の大学に勤務する大学教員に対して研究協力の依頼をし、支援実施体制の構築が円滑に進むように取り組む。
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