研究課題/領域番号 |
19K02911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松浦 直己 三重大学, 教育学部, 教授 (20452518)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 非行 / 被虐待 / 発達障害 / 矯正教育 / 効果評価 / 神経科学 / 児童自立支援施設 / 少年非行 / 行動の問題 / MRI / 神経学的変容 / 児童自立支援施設入所者 / 神経学 / 少年院 |
研究開始時の研究の概要 |
少年院(法務省管轄)と児童自立支援施設(厚生労働省管轄)は非行化した少年らを収容し、更正をめざす矯正教育機関である。平成に入り非行は激減しているので、収容者数も顕著に減少しているが、両施設で約4000人程度が矯正教育を受けている。収容者の圧倒的大多数は、以下2点の共通点がある。①発達障害を含む、何らかの精神障害を有する、②被虐待経験がある。 彼らは1~1年半の矯正教育を受けて、行動、情緒、学力、多様な面で劇的に改善する。我々の先行研究では平均で知能指数が約20上昇する。本研究では、多様な尺度を用いて矯正教育の効果を検証するだけでなく、入所前後でMRIを使用して、神経学的リカバリーを評価する。
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研究成果の概要 |
非行化した被虐待児(児童自立支援施設入所者)の神経学的特徴をMRIを使用して評価した。同時に行動・情緒の特性を多面的に評価した。その上で被虐待の影響や、矯正教育効果を評価した。CBCLの評価では、総得点、内向得点、外向得点とも、顕著な改善を示した。これは児童自立支援施設の家族療法的な環境療法が、深刻な被虐待経験を有する、非行少年の矯正に極めて効果的であることを示唆するものと考えられる。 なお、WISC-4によるIQの評価では、平均で20以上上昇していたことが確かめられ、行動面のみならず、全体的な認知機能も顕著に改善していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では少年非行および未成年の検挙人員は極端に減少している状況である。一方で何らかの発達問題や精神医学的困難性に加え、被虐待経験のある深刻な非行少年は一定数で存在し、矯正教育施設でも処遇に苦慮している。多面的かつ複雑な問題を抱える少年に対して、日本の矯正教育施設は個別処遇と集団処遇を組み合わせて、長期的かつインテンシブな支援を提供してきた。 本研究では、行動面や心理面のみならず、神経科学的にも児童自立支援施設のような矯正教育機関の提供する教育が効果的であることを示した。さらに、矯正教育が得意とする教育環境の構造化は、非行少年のみならず様々な困難性を示す子どもたちにも効果的であることを示唆した。
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