研究課題/領域番号 |
19K02944
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 (2022-2023) 一橋大学 (2020-2021) 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター (2019) |
研究代表者 |
北 洋輔 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90627978)
|
研究分担者 |
加賀 佳美 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20436877)
鈴木 浩太 四天王寺大学, 教育学部, 講師 (20637673)
櫻井 千穂 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (40723250)
奥村 安寿子 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 日本学術振興会特別研究員(PD) (60749860)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 発達障害 / 多言語 / 特別支援教育 / 外国人児童生徒 / 日本語教育 / 認知神経 / アセスメント / 発達心理 / 障害科学 / 多言語環境 / 心理アセスメント / 認知 / 脳科学 / 疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
外国籍児童など文化的・言語的に多様な背景をもつ子ども(Culturally Linguistically Diverse Children:CLD児)のうち、発達障害のある児は、特別支援教育と日本語教育の狭間にあり、十分な支援を受けられずにいる。本研究では、こうした子どもへの支援法の確立を最終的な目的として、①発達障害症状の実態把握と支援需要の特定 ②アセスメントバッテリー開発と認知特性の解明 ③認知特性に基づいた支援実践 を行い、学校環境で実装可能な支援法の提案を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、国際結婚や移住などから家庭内と家庭外の言語が異なる文化的・言語的に多様な背景をもつ子ども(Culturally and Linguistically Diverse children:CLD児)を対象とする。本研究のゴールは、CLD児における発達障害症状の実態把握、および症状を評価するアセスメントバッテリーの開発と支援法の提案である。 五年目の2023年度は、アセスメントバッテリーの開発と統合を目標とした。具体的には、発達障害の1つである発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder:DCD)に関連する症状について評価法の開発を行った。評価法として協調運動機能に関わるドーパミン(DA)神経伝達系と運動反応抑制に関わる神経活動の評価を組み合わせたバッテリーを取り入れた。前者は、ヒトの生体試料を用いた遺伝子多型による判別を行い、後者では頭皮上脳波による事象関連電位の評価を用いた。これらの評価法を約100名程度の対象者に実施した結果、DA神経伝達系と神経活動の両面で脆弱性が重畳するヒトにおいて、粗大運動機能や姿勢保持能力が低下することが明らかとなった。一方で、DA神経伝達系と神経活動のどちらか一方が適切に維持されていれば、協調運動機能が低下しないことも明らかとなった。これらの評価法は生体試料や生体反応を利用したものであり、CLD児の言語的・文化的な差異による影響を最小化した客観的なアセスメントバッテリーとして利用できるものと考えられた。これらの知見は、査読付論文として学術誌での誌面発表の他、一般向け講演活動等として社会周知活動に取り組んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初に設定した研究計画に即して順調に進んでいる側面と、やや遅れている側面がある。順調に進んでいる部分は、アセスメントバッテリーの開発である。本年度までにアセスメントバッテリーとして、音韻認知能力・実行機能・協調運動機能の開発に成功している。いずれも言語的・文化的な影響を最小化した形での客観的な評価法となっており、CLD児の評価として有用なものであると考えられる。これらは、当初の計画を上回る形で成果が得られており、査読付論文や講演活動として公表している。 一方で、やや遅れている側面は支援法との連動である。遅れている主たる原因は、新型コロナウイルス感染症の影響である。特に、感染症以降は計画していた臨床介入研究の見直しが求められており、当初の計画から変更して進めている部分がある。そのため、研究期間を再度延長し、開発したアセスメントバッテリーに基づいて支援法の提案を2024年度に行い、当初の計画を達成する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、アセスメントバッテリーの統合とそれらに基づいた支援法の提案を行い、当初の研究計画を達成する予定である。具体的には、開発したアセスメントバッテリーに基づいて対象者の評価を行いプロフィールを算出する。算出されたプロフィールから対象者に適切な支援法を選択するプロトコルの提案を行う予定である。アセスメントでは、従前どおり心理学実験による行動指標、および近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)や脳波(EEG)などの非侵襲的脳機能計測を利用した生理指標を継続利用する。生理指標は感染症予防対策を十分に講じた形で実施する予定である。これらの準備状況は概ね整っており、2024年度は予定通りに研究が遂行できるものと考えている。
|