研究課題/領域番号 |
19K02964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 名古屋女子大学短期大学部 (2022-2023) 松本短期大学 (2021) いわき短期大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
鈴木 美枝子 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 教授 (40793550)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 東日本大震災 / 原発事故 / 子どもの発達 / 保育環境 / 園だより / 保育者・教師の語り / 自然環境 / 保育者の語り / 東日本大震災後の子どもの発達 / 震災後10年 / 社会的要因 / 保育者の二重性 / 保育士の語り / レジリエンス / 生活環境 / 心理的な影響 / 発達支援 |
研究開始時の研究の概要 |
大震災後8年が経過し、いわき市内の子どもに発達障害の行動特徴を示す者が、他の地域よりも多い。その要因は環境によるものと推測されている。本研究では、大震災による生活環境の崩壊による幼児・児童の発達への影響と支援者(保育者、教師及び保護者)の心理的影響を明らかにする。そして、発達障害の行動特徴を示す者の認知発達と日常の観察の分析結果を併せて、いわき市の発達支援プログラムの開発を目指すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、東日本大震災による生活環境の崩壊による幼児・児童の発達への影響と支援者(保育者、教師及び保護者)の心理的影響を明らかにすることを目的に行っている。本年度は、以下のことに対して研究を行った。 (1)本研究の初年度から分析を行っている「いわき市と静岡市の年長児の発達の状況」を対人応答性尺度第2版によって分析をして、学会誌に投稿し採択された。本研究により、東日本大震災直後に生まれたいわき市の男児の対人発達は、他の地域の同じ年齢の子供より遅れが見られた。それは、東日本大震災時の環境崩壊の影響によるものと推測できる。 (2)子どもの発達に影響を与えたと考える保育環境について調査するために、いわき市内の幼稚園及び保育園4園の協力を得て、震災当時の「園だより」の分析と聴き取り調査を行った。その結果、「園だより」に記載する内容は、①原発事故の影響による放射能の大気汚染の状況を計測して数値を毎回載せている園と園を利用している保護者の職業等を考慮して、園には表示するが「園だより」には放射能に数値を載せない園があり、園の考えによって二極化していること分かった。②どの園も原発事故による放射能による保育環境への影響については、保護者にアンケートをしたり、保護者会を開いて話し合いをしたりしていたことが分かった。③園から提供する給食は、福島県産のものを使わず、放射能汚染が確実にない地域から食材を取り寄せていたこと。更に、給食で使う全ての食材を対象に、放射線量の検査を行っていたことが明らかになった。 (3)文献調査は、「いわき市教育ガイド」などに記載されているデータを分析し、東日本大震災後の子どもの発達への影響について明らかにした。また、東日本大震災・原発事故について、現在行われている研究をリサーチするために、東日本大震災・原発事故伝承館主催の学術集会に参加し、情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しい勤務先も2年目になり、研究に見通しを持つことができるようになったが、短大の保育者養成校であるため、保育実習、教育実習があり、①研究する時間を取ることが制限された。②研究対象のいわき市まで距離があるため、現地に行って調査をする時間を確保することが難しかった。 このような状況があったが、本年度は、これまでの遅れをかなり取り戻すことができた。しかし、全てを取り戻すことには時間的に難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究の最終年度になるため、これまでの調査研究を行ったデータを整理・分析し学会等に論文投稿をしたい。更に、本研究のまとめとして、研究協力者に承諾を得て「東に本大震災による子どもの発達への影響ーいわき市の保育者・教師の語りー」というタイトルで証言集を作成したい。
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