研究課題/領域番号 |
19K02984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
岸 磨貴子 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (80581686)
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研究分担者 |
青山 征彦 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (60337615)
今野 貴之 明星大学, 教育学部, 准教授 (70632602)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アクターネットワーク理論 / 学習環境デザイン / パフォーマンス / ニューマテリアリズム / エージェンシー / アートベース・リサーチ / インプロ(即興演劇) / アクターネットワーク論 / 地域連携 / ディベート / 大学連携 / オンライン研修 / 教材開発 / 自己エスノグラフィー / パフォーマンス心理学 / インプロ / フィリピン / VR / アクションリサーチ / 高等教育 / ミャンマー / 教育環境 / 社会–技術的アレンジメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,高等教育の学生がICTを活用しながら即興的・協働的に知識を構築していく教育環境を構成する社会ー技術的ネットワークの構造を明らかにすると同時に,その環境を作り変えたり,生み出したりするための資質・能力(エージェンシー)を高めるするための教育環境を開発することである.学生自身が変化しつづける環境(モノや技術を含)を活用しながら知識を生成(構築)していく教育環境をデザインするため,本研究ではアクターネットワーク論を理論的枠組みとし,知識生成の場をテクノロジーと人が融合するハイブリッドな集合体として捉え,それを生み出すためのアクションリサーチを行い,その知見をもとに教育環境を開発する.
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研究実績の概要 |
おおむね予定通り研究を進めることができた。2022年度の主な研究成果は次の4点である。 第一に、学会など学術コミュニティでの研究成果の報告である。2021年度で実施した教育実践事例を、アクターネットワーク論を理論的枠組みとして分析し、その研究成果を報告し、議論を進めることができた(青山・岸 2022, 田・岸 2022)。また、共同研究者の青山氏らが企画した「社会科学の新展開」シンポジウムにおいて、研究代表者である岸が「アクターネットワーク論からみた教育工学」と題した講演を行った。 次に、2022年度にアクションリサーチとして屋久島での国内フィールドワークを実施し、その研究成果を日本教育工学会の全国大会で報告することができた(岸 2023)。アクターネットワーク論に基づいた実践の描き方として「アート」的手法が着目されており、アートベース・リサーチに位置付けてまとめたものである。アクターネットワーク論を理論的枠組みにすることで見えてくる人間ー非人間のハイブリッドな関係性の描き方について、研究方法の観点からも本研究を前に進めることができた。また2023年度に実施する海外フィールドワークの調査計画を策定できた。コロナ感染対策の観点から実施が延期となっていたもので、現地の大学と連携し2023年度にエジプトで実施できる見通しを立てることができた。 第三に、学生のエージェンシーが発揮できる場をデザインするための教師向けガイドとして冊子の開発に着手した。いかに人間ー非人間のハイブリッドなつながりをデザインまたは編み直すのかについて具体的な実践事例を含めた内容で構成している。 最後にアートベース・リサーチの最新の研究動向についての文献調査を行った。先にも述べたように、アクターネットワーク論に基づいた実践の描き方として「アート」が着目されており、研究方法についても進展させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,アクターネットワーク論(Actor-network-theory:以下 ANT)を理論的枠組みとし高等教育の学生がICTを活用しながら即興的・協働的に知識を構築していく教育環境を構成する社会-技術的ネットワークの構造を明らかにすると同時に,その環境を作り変えたり,生み出したりするための資質・能力(エージェンシー)を高めるための教育環境を開発することである. 本研究は最終段階でおり、これまでの研究の成果と課題、今後の展望についてまとめているところである。今後の展望については、アートベース・リサーチとの接点を探ることである。ANTの観点から捉える実践の複雑さは、記述ではなかなか困難である。その複雑な人間ー非人間のハイブリッドなつながりを描く方法としてアートに着目した。現在、国内外のアートベース・リサーチの動向について先行研究をレビューしているところである。この点を含めて、本研究の成果と課題、今後の展望をまとめる。 また、コロナ感染予防対策として延期になっていた海外フィールドワークを実施する見通しを立てることができた。新たな社会-技術的ネットワークに入ることで学生はいかにエージェンシーを発揮していくかを調査する。エジプトのエジプト日本科学技術大学と連携して共同研究を行うことで合意ができたことから、本研究の最終年は、この実践事例も含めて研究成果をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年では、2022年度までに実施した実践について研究論文としてまとめると同時に、一般の人たちにもアクセスしやすいように冊子やウェブに情報を整理し配信する。また、本研究計画でコロナ感染対策の観点から実施が延期になっていた海外フィールドワークをエジプトのアレイサンドリアにあるエジプト日本科学技術大学で実施できる見通しがついたことから2023年8月に実施する予定である。 また、理論的観点からは、ANTにパフォーマンスという見方を導入することにより、エージェンシー概念のアップデートを図る。もともとのANTでは、エージェンシーはさまざまな関係から生み出された効果と位置づけられているが、このような見方では、新しい関係を生み出そうとするエージェンシーはうまく扱うことができない。パフォーマンスの見方を取り入れることでANTを理論的枠組みとした実践研究をさらに発展させていく。
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