研究分担者 |
鷹岡 亮 山口大学, 教育学部, 教授 (10293135)
山崎 宣次 山梨県立大学, 人間福祉学部, 准教授 (50622635)
村瀬 康一郎 岐阜大学, 教育学部, 教授 (80150027)
及川 浩和 中日本自動車短期大学, その他部局等, 教授(移行) (00233007)
興戸 律子 岐阜大学, 教育学部, 助教 (00362179)
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研究実績の概要 |
情報検索を組込んだアブダクション(仮説的推論)を探究学習の基底におき, 情報検索を積極的に組み込んで説明仮説の一貫性を吟味しながら確定してレポート作成する単元設計を豊かな学びモデルとして開発した. 具体的には, 小学校6年理科の学習において, アブダクションを取り入れた単元指導を試みた. また, 探究学習における学びの意識を調査するための豊かな学び尺度の開発, リフレクションに対する先行研究の調査を行った. 1. タブレットPCを活用した情報検索がアブダクションに与える影響を調査し, プロジェクト型の単元モデルの試案を開発した. 小学校6年理科の単元導入期の学習において, 単元を見通す課題について各児童に情報検索を組込んだアブダクションを立て探究させたところ, 児童たちは30分後位から活発化し, 100分を超えても探究学習を継続する姿を確認した. また, その後も考えたアブダクションを持続的に検証しようとする姿が見られ, 実験の失敗にもその要因を追究しようとした. また, 児童がアブダクションを考える場面での教師の助言は, 「どうしてなのかな」「説明してみて」「ほんとうにそうかな」などの批判的思考に基づくものであることが確認された. 2. アブダクションを重視する探究学習は学び深さへと学習者の意識を誘うと考えられるため, 深い学び意識を調べる尺度を開発した. この尺度を用いて前述の実践について調査した結果, 同一校でアブダクションを用いない一般的な理科授業との比較で, 学びの深さに有意な差が生じたことが示唆された. 3. 探究学習における深い学びを遂行のためにはリフレクションが重要と考えられる. 先行研究調査で, 探究学習におけるリフレクション研究は専門家のそれと類似する傾向にあることが明らかとなった. 本研究は研究代表者の死去によって, 研究半ばで研究費は打ち切られたが, 今後も他の学年や他教科においても実証研究を継続する予定である.
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