研究課題/領域番号 |
19K03062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中村 潤 中央大学, 国際経営学部, 教授 (80532994)
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研究分担者 |
永吉 実武 静岡大学, 情報学部, 教授 (80620616)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 失敗からの学び / 組織学習 / メタ認知 / 視線計測 / 組織記憶 / ナレッジリポジトリ― / 内発的動機付け / 技能伝承 / 比較分析 / 経験と反省 / 可視化 / 未来への継承 / 開発と探索 / 気づき / シナリオ創出 / 能力育成 / 労働生産性向上 |
研究開始時の研究の概要 |
中小企業の労働生産性を高めるために、作業現場において改善の余地の存在に気づき、創意工夫を推進できるような人材が求められている。このために、本研究では昨今のセンサーデバイス等の技術に着目して「気づき」が創意工夫に寄与し労働生産性を高めることを狙い、「気づき」能力の育成法を構築する。具体的には、 (1)「気づき」能力によって現場担当の創意工夫がもたらされ、労働生産性につながるメカニズムを解明する。 (2)熟練者の視線と「気づき」能力の相関性を確認するためのツール、能力評価指標、及び作業手順書で構成される能力育成法を構築する。 (3)同育成法の向上効果を測定する。
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研究成果の概要 |
中小企業である(株)三技協において、「失敗からの学び」の典型的なプロジェクトである反省塾に関して定点観測を行った。その結果、気づきに必要な失敗の共有は不利益を被ることもあり、心理的にネガティブに感じる一方で、自己決定論に基づく知識共有行動の動機付け、すなわち、自律性とコンピテンシーが共有意欲を促進するという仮説を見出した。別の企業のケースでは、作業上の視線の動きにおける新人とベテランの差異を明確化した。その結果、新人にとってのメタ認知は自らのバイアスを自覚する気づきの契機となり、育成のためには動作マニュアルでは不十分であること、そしてベテランとの動的なギャップの深淵が不可欠であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義としては、知識マネジメントの領域では、失敗からの学びを共有する環境を、ファイル共有などのITの面だけではなく、自律性などの概念を含む自己決定理論を踏まえた動機付けに焦点をあてることの意義を見出した。また、認知科学の視点でいえば、自らがバイアスにかかっていることに気づくことが、自己の成長につながることを示した。 社会的意義としては、コロナ禍の影響に苦しむ中小企業にとって、失敗からの学びや自己の再発見といったソフトの改善は、時間がかかるもののハードよりコストはかからない。こうした経営資源の限られた中小企業にとって、人的資源の質的向上に寄与するものと考えている。
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