研究課題/領域番号 |
19K03083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
川上 綾子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50291498)
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研究分担者 |
江川 克弘 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (70633296)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 授業力育成 / 教員養成 / 相互行為分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,教員志望学生を対象とした授業力育成のためのプログラム開発を目的としている。開発予定のプログラムは,従来,授業分析の一手法として用いられてきた「相互行為分析(授業で児童生徒や教師により交わされる『言語を媒介とした行為(以下,ディスコース)』を主な対象として分析し,そこで生じている学びの様相や過程を明らかにしようとするもの)」を,授業を設計する際のツールとして導入し,授業時に想定されるディスコース間の相互作用や展開を俯瞰的に構造化して捉えるように促すことで,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け効果的な授業を設計・実施する力の育成を図ろうとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は,教員志望学生を対象とした授業力育成のためのプログラム開発を目的としている。当該のプログラムの特徴は,従来,授業分析の一手法として用いられてきた「相互行為分析(授業で児童生徒や教師により交わされる『言語を媒介とした行為(ディスコース)』を主な対象として分析し,そこで生じている学びの様相や過程を明らかにしようとするもの)」を,授業を設計する際のツールとして援用しようとする点にある。そのことにより,授業時に想定されるディスコース間の相互作用や展開を俯瞰的に構造化して捉えることを促し,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け効果的な授業を設計・実施する力の育成を図ろうとするものである。 2023年度は,前年度に引き続き,開発予定プログラム中のディスコース・プランニング(マップ形式により授業におけるディスコースの展開を計画すること)の具体的な内容と方法について,複数の教材(小学校の国語・算数・社会・理科・道徳より選択)を事例としてさらに検討を加え,教科や単元の特性に基づくプランニングのサンプルを蓄積しつつ,学習者(教員志望学生)から見たディスコース・プランニングという授業設計方法の有効性・実用性・汎用性等について吟味した。また,数名の学生を対象に,教育実習やインターンシップで授業を実施する際に,その授業設計に関する指導過程においてディスコース・プランニングについて紹介し,暫定的にではあるが,当該設計方法の部分的な導入を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は補助事業期間の再延長が承認されたことにより,本来は本研究の最終年度として取り組みを総括し,全般的なとりまとめを行う予定であった。すなわち,ディスコース・プランニングを用いたプログラムの作成,学生への指導実践を通じた効果検証,その結果を踏まえたプログラムの改良・完成をめざしていた。しかし,計画していた系統的なデータ収集(学生を対象として,従来からなされている「細案」を書く授業設計,ディスコース・プランニングに基づく本プログラムを利用する授業設計,そして双方を組み合わせた授業設計という3つの方法を比較する検証計画)は実現できず,個別に数人が試行したのみであった。したがって,当該プログラムの本格実施および最終評価には至っておらず,まだ開発の途中で留まっている状態である。そこで,さらに補助事業期間の延長を申請し,次年度に上記の取り組みを通じた研究の総括を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終成果のとりまとめに向けた取り組みを推進するが,時間的な制約を踏まえて,昨年度と同様に研究計画を一部見直しつつ遂行する。 まず,ディスコース・プランニングを利用したプログラム(プロトタイプ)を作成し,それを用いて学生を対象とした指導実践と効果検証を行うことについては,相当数の学生を対象とした量的な調査ではなく,少人数を対象とした質的な調査(対象学生へのインタビュー,授業を実施した際の映像やプロトコルの分析,当該授業を参観もしくは授業映像を視聴した他者による評価コメントの分析等)によるものとし,さらに学校現場における実際の授業のみならず,学内での模擬授業等を活用したデータ収集も試みることを検討する。それらの結果をもとに,プロトタイプに改良を加えて最終的な授業力育成プログラムとして完成させ,研究成果をまとめる。さらに,昨年度も記載した通り,実践→評価→改良のサイクルがスムーズに進行するよう,ディスコース・プランニングのフォーマット案やプログラム本体には予め複数のパターンを想定しておき,適宜,選択的に用いることで一連の取り組みを効率的に進めたい。
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