研究課題/領域番号 |
19K03114
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
村田 享香 新潟大学, 経営戦略本部, 准教授 (40529393)
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研究分担者 |
三宅 恵子 (村山恵子) 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任講師 (40404058)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 科学コミュニケーション / 非言語コミュニケーション / 性差 / 女子中高生の理系進路選択支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,行動心理学の知見から示唆される非言語コミュニケーション(以下,NVC)における性差の知見を科学コミュニケーション技術に応用することによって,性差を踏まえた効果的な科学コミュニケーション技術を開発することを目指すものである。特に,日本の女子中高生の理工系分野への興味関心を高めるために効果的な科学講演手法を開発することを目的として,①日本の女子中高生が高く評価する講師はどのようなNVCを使用しているか,②講師の使用するNVCは講師の性別や分野によってどう異なるか,③特に理工系分野で女子生徒の興味関心を高めるための効果的なNVCの使用方法とは何か,の3点を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は,これまで個別に行ってきた8回の科学講演に関する解析データについて,講師のビデオ映像を基にした非言語的行動(NVC)の行動コーディング解析と音声・語分析,講演に使用したスライドの分析,各回の終了時に実施した受講者アンケート,同受講者に初回に実施した理数系科目に関するアンケートの情報を受講者毎に紐付けて集約した解析データベースを作成し,講師のNVCと受講者の受け取った印象や進路選択意識等との関係性を解明することを試みた。 このデータベースから,女子生徒の理系意識を特に強く喚起した講演の特徴を洗い出し,女子生徒の理系進路選択意識を高める効果的な講演技術を導くため,はじめに,各講師のNVCと受講者が受け取った講師の話し方の印象に関連性が認められるかを確認し,次に,受講者を理数系科目の好き嫌いや志望分野の変化,科学者への興味の有無などによってグループ分けし,それぞれで印象が良かったり,進路選択意識を高めたりした講演の特徴を調べる方針をとった。 昨年度までの研究で見つかった女子生徒と男子生徒とで評価に有意差のある講演での講師の特徴的なNVC1とNVC2をデータベースに基づいて再検証したところ,生徒の理系科目の好き嫌いとの関連性が示唆された。 しかし,データベースの作成においていくつかの紛失データの探索が必要となり,急遽,データアーカイブ化等に取組んだことや,要因分析等のデータ解析に必要な知識や技術の修得が十分でなかったこと,十分な研究時間が確保できなかったことから解明には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は最終目標である「女性の興味をより喚起する科学講演手法を開発すること」につながる講師のNVCの解明を目指し,これまでに行った調査データを集約したデータベースの作成と解析に着手した。講師のNVCの行動コーディングは講演中の特徴的な5つの行動の回数と時間,音声・語については声量等の4項目,スライドについては文字数等6項目,受講者アンケートは理系6科目の好き嫌いと得意不得意の意識,及び,各回の講演の印象や講師の話し方とスライドへの注目度,進路選択意識等である。8割程度のデータが揃った段階で不足データの補完と同時に解析にも着手した。しかし,データベース作成において紛失データの探索が必要となり,急遽,データアーカイブ化等に取組んだこと,要因分析等のデータ解析に必要な知識や技術の修得に時間を要したこと,研究代表者,分担者共に研究時間を十分に確保できなかったことなどから,解明には至らず,成果発表等もできなかったため「遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間をもう1年延長し,データベースの完成と解析を進め,最終目標である「女性の興味をより喚起する科学講演手法の開発」につながる講師のNVCの解明を目指す。データベースの不足分の補完作業のための研究員等の雇用や,オンライン研修等を活用して効率的にデータ解析技術を修得すること等により,可能な限り早期に進める。 また,新型コロナウイルスの感染拡大防止のための行動制限により中断していた研究協力者の所属機関における卒業研究発表のビデオ撮影,研究分担者との対面による打ち合わせについては,今年度は行動制限が解除されたことから随時可能なものに着手し,本研究の検証や検討の機会を確保する。最終的には,これらの研究で得た知見を論文や研究集会等において発表し,広く周知して女性の理系進路選択機会の拡大につなげたい。
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