研究課題/領域番号 |
19K03116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
相田 慎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60345957)
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研究分担者 |
箕輪 はるか 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60372976)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 原発事故 / 科学コミュニケーション / リスクコミュニケーション / 社会言語学 / 社会的相互行為 / ナラティブ分析 / 談話分析 / 新型コロナウイルス感染症 / 東日本大震災 / ナラティブ / 科学技術社会論 |
研究開始時の研究の概要 |
原発事故時による放射能リスクへの国民の不安は和らいでいるものの、企業・行政・報道への不信感は根強く、不安が解消されたとは言い難い。人々は、折に触れてこの問題について語らっていたであろうが、これは「人によって見解が異なる切実な問題」であり、「語ることへの躊躇い」があったと予想される。
本研究課題では、日常会話に表出する(放射能リスク等の)科学の話題を「日常の科学コミュニケーション」と捉え、その場面獲得手法を提案し、話題が科学へ遷移する前後を詳細に分析する。 そして、「日常の科学コミュニケーション」の過去から今後とを観察し、放射能リスクという「時と共に変わりゆく問題」が変化する局面を俯瞰する。
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研究実績の概要 |
研究代表者・相田と研究分担者・箕輪は、平成26年3月より、いわき市の知人らと共に「科学コミュニケーションの交流活動」を実践している。その活動拠点を「(有)ネクストホームモデルルーム」(福島県いわき市仁井田町)とし、他法人より無償貸与された微量放射能測定装置を設置している。そして、我々研究者と市民との交流場面を、活動拠点やいわき市内外各所において動画撮影し、記録してきた。(原発事故のような)科学リスクは、「人によって見解が異なる切実な問題」であり、「語ることへの躊躇い」があったと予想される。そこで、本研究課題では、日常会話に表出する科学リスクの話題を「日常の科学コミュニケーション」と捉え、「日常の話題」から「科学リスクの話題」へ遷移する場面を獲得し、その分析を行う。
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、いわき市での日常会話を収録するフィールドワークは実施できなかったため、以前のフィールドワークデータの分析作業を行った。
相田は、令和元年度に、平成27年度のいわき市内の小学校でのフィールドワークによって得た動画「(放射線の専門家である)講師・箕輪による放射線についての講演会での質疑応答場面(対象は小学4~6年生・保護者)」のナラティブ(語り)を分析し、その結果と考察を論文としてまとめた。本論文は、令和2年12月に刊行された研究書籍『ナラティブ研究の可能性 ― 語りが写し出す社会』(ひつじ書房)の第7章「いわき市内の小学校における講演「放射線のおはなし」―「質疑応答」から見えること」として収録された。なお、本書籍には相田の論文含め9つの研究論文が掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していたいわき市での日常会話の動画収録するフィールドワークは実施出来ず、令和2年度2年度以降、新たな録画データを獲得出来てない。動画として記録した社会的相互行為を見ながら、研究分担者や研究協力者らと内容を詳細に分析するためには、オンラインミーティングでは難しい状況が続いた。
本研究課題に関する論文を研究書籍に著し、令和2年12月に刊行されたものの、対面での研究打合せまでには至らなかったため、「(3) 遅れている」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、コロナ禍がほぼ収束したため、下記3つの再開を目指す。なお、令和5年度は最終年度に相当するが、研究進捗状況を考慮し、本研究課題を令和6年度まで延長申請する予定である。 (1) 新型コロナウイルス感染症が収束した後に、いわき市において「科学コミュニケーションの交流活動」の協働を再開する。また、平成26年度以降のフィールドワークにより得られた出前授業・談話会・日常会話などのマルチモーダルデータ(撮影動画・録音音声)の分析作業を引き続き行う。 (2) 「新型コロナウイルス感染症」は、現在、世界中で関心が寄せられている新しい科学リスクである。そこで、本研究課題では、「原発事故に関する日常会話」だけでなく、「新型コロナウイルスに関する日常会話」の収録も試みる。特に、それら2つの異なるリスクについての日常会話を比較することによって、「日常の科学コミュニケーション」におけるナラティブ(語り)の共通点や相違を明らかにする。 (3) 広く社会・学会発表・論文投稿等、様々な方法で外部へのアウトリーチを行い、その際の反応を、交流活動に随時フィードバックする。但し、得られたデータは、リスクに関するセンシティブデータを含むため、インフォーマントとの協議の上、公表は慎重に行う必要がある。
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