研究課題/領域番号 |
19K03124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
牟田 淳 東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (20341969)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 雪結晶3次元データ / 深度合成 / 雪結晶 / 雪結晶3次元スケール / 3D画像 / フォーカスブラケット / 顕微鏡撮影 / 自動フォーカスブラケット / 理科教育 / 雪の結晶 / 顕微鏡写真 / 雪の結晶図鑑 / 3D顕微鏡写真 / VRを活用した科学写真 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、博物館等に於いて3次元データやVRを用いたより科学的に正確な展示の方法が模索され始めている。申請者はこれまでピントが合う範囲が極端に狭かった雪結晶等のミクロな対象を全体にピントが合った写真を撮影するシステムを作成し査読論文にした。そこでこのシステムを拡張してより科学的に正確な雪の結晶2D及び3D写真図鑑を作成して科学教育に活用する。
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研究実績の概要 |
今年度は特に以下の点において大きな進展があった。 1. 「雪結晶3次元データの可視化」雪結晶の自動フォーカスブラケット撮影は2次元雪結晶データを取得する目的で計画していたが、ピントの合う位置を雪結晶の高さ方向に上下に少しずつずらしながら撮影すると3次元データが得られている事に2022年度末に気が付いた。そこで2023年度は実際に様々な雪結晶の3次元データを得、その可視化を行った。1つはソフトにより角度を2-3度変化させるアニメーションを作成し、雪結晶の立体構造を可視化した。さらに単にピントの合う位置を変化させるアニメーションも併用して立体構造を明らかにした。 2.「雪結晶3次元データの収集」2022年度に撮影した雪結晶は種類が少なかったので、2024年2月に北海道大雪山旭岳の宿泊所の駐車場において、約20日程かけて撮影を行った。前半は雪が大量に降り、後半は気温が高かった。雪結晶の形は気温や水蒸気量などが変わると大きく変化することが知られているが、前半と公判で条件が大きく変わったため、結果的に様々な雪結晶のデータを得ることが出来た。6回対称の枝を持つ雪結晶はしばしば2層構造を持つが、今回はその2層構造が容易に分かる大量の写真を得た。また、六花から分離した二、三、四花はもちろん、見つからないとされている五本の枝がある五花も、20日間も撮影すると普通に複数回見つかった。 3. 「雪結晶3次元スケールの計測」雪結晶3次元スケールを計測する方法を開発した。計測で困難であるのは高さであるとされていたが、顕微鏡撮影ではインジケータを使用して高さを計測することができるので、この方法を雪結晶にも摘要し雪結晶の3次元スケールを幾つかの雪結晶に対して計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は様々な気象条件下において大量の自動フォーカスブラケット撮影による雪結晶の撮影データを取得することが研究遂行の前提条件であったが、これら撮影データの取得は全てコロナにより3年程予定が遅れることになった。本計画は当初2019年度からの4年間の計画であったので、本格的な研究は2022年度(撮影は2023年1,2月)から始まったことになり、本来であれば2022年度から4年間、即ち2025年度までかかる事になる。 しかしながら研究遂行中に、3Dデータを取得する方法に大きな進展があり、2025年度までの予定を一年早く終える事が出来そうである。ここで大きな進展とは、当初はステレオ画像を直接撮影することにより簡易的な3Dデータを取得する予定であったが、2023年度「研究実績の概要」にあるように自動フォーカスブラケット撮影を行うと、高さ方向に多数の写真を撮影しているので、3次元データが得られているのと同等であることに気が付いた事である。このことにより、ステレオ画像撮影装置を新たに作る必要がなくなり、当初4年の予定を3年に短縮することが出来る予定である。しかしながら、2019年からはやや遅れているので「(3)やや遅れている」とした。 現在までに当初予定の一つである自動フォーカスブラケット撮影による2次元雪結晶写真については、殆ど見られないとされていた五花の雪結晶も含め、様々な種類のデータを入手でき、大雪山で得られる雪結晶の大半は得られたと考えている。現在、撮影されたデータの深度合成中である。 3次元データについては、前述のように方法論は変わり大きく進展し、この新しい方法に基づき3Dデータの作成中である。 また、【研究実績の概要】にあるように、本研究で新たに3次元スケールを計測する方法を雪結晶に摘要し、一部の雪結晶に対して計測を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 「データ公開について」雪結晶の2次元並びに3次元データをまとめ、分類した上で簡単な解析を終了したものから順次公開したい。公開場所はサーバーを確保して公開するか、googleフォト、youtubeなどに公開する事を検討している。 2. 「雪結晶3次元スケールの計測」雪結晶の三次元スケールを本格的に計測する。雪結晶の3次元構造を明らかにするには、3次元スケールのデータが必要になる。2023年度は少数の雪結晶に対して試行的に計測を行ったものなので、大量且つ様々な雪結晶の3次元スケールを計測し、以下「雪結晶の3次元構造の解析」を行う上での基本データとしたい。 3. 「雪結晶の3次元構造の解析」私が所有する様々な雪結晶3次元データを再現する物理モデルを構築する。理想的な方法は分子動力学に基づく解析と考えられるが、粒子数のが多く困難であるので多くのミクロな物理モデル(殻模型等)のように、一部の粒子のみ考慮する方法を考えている。水分子は双極子を構成するため、コンデンサのように結晶内部の電荷は結晶外部の電場に影響せず、結晶表面の電荷分布のみで決まると予想される。つまり、表面のみ考慮すればよい。そこでまず、様々な雪結晶が結晶表面の電荷分布で基本的に決定されるかを確認するため雪結晶の表面の電荷分布から電場を計算し、雪結晶の形と整合性があるか等を確認する。その仮定が正しい事が検証されたのちに、表面電荷など形状決定に影響する粒子をもとに分子動力学等の解析を行う。
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