研究課題/領域番号 |
19K03132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
清田 耕司 広島商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (50216503)
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研究分担者 |
千葉 元 大島商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (20369961)
薮上 敦弘 広島商船高等専門学校, その他部局等, 助教 (60610061)
大内 一弘 広島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90610064)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 海事史 / 離島 / 海事思想普及 / 造船史 / 継承 / 造船 / 機帆船 / 島の暮らし / 行商船 |
研究開始時の研究の概要 |
消滅可能性離島といわれる大崎上島等の島嶼部は、造船と「舟釘」等造船関連産業及び柑橘類栽培などの地場産業により極めて発達した地域であり、その後の島人の暮らしは著しい変化を経験しており、このような歴史的な変遷を分析するために、人口減とともに失われつつある地域に残る海運史・造船史と造船に関わる地場産業を支えた島人の暮らしを調査研究し、芸予諸島から瀬戸内海に面した地域で育つ子ども達への「地域産業史教材」作成に向けた収集・発掘・情報発信を行い、次世代の子ども達に地域の歴史・文化・産業を題材とした教育を通して、故郷や地域に貢献出来る人財育成となる地域志向心教育の一助を目指す。
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研究実績の概要 |
消滅可能性離島といわれる大崎上島における、造船・海運・船員養成などについて、同島の変遷を次世代に継承することを目的とし、研究分担者と地域を分担して聞き取り調査や写真資料の入手を行い、収集データの活用と展開として、地域の小中学校へ出前授業を行い、郷土学習及び社会科の支援を行う。並行して収集データのデジタル化の手法の活用として他校等の海事資料のデジタルアーカイブス化への支援を行った。本研究の情報発信として、日本航海学会等での発表及び論文投稿を行う。 大崎上島での建造船データ収集のため、日本船名録等の閲覧調査を実施し、明治期~昭和期建造船舶の船名・寸法・建造地(建造所)等の抽出作業を行う。収集調査したデータを、郷土学習教材作成などに活用する。大崎上島における造船・海運(行商船)・船員養成・地場産業について聞き取り調査を行う。船員養成の歩み調査のため、大崎上島町内、広島商船高等専門学校及び帆船海王丸等への訪問調査を行い、船員教育に関する資料収集及び資料のデジタル化を行っている。デジタル化の技術を応用して海王丸における建造時(昭和5年)から平成元年までの航海日誌等のデジタル化を行った。研究の展開として、教室及び校外を組合わせた出前授業を大崎上島町内の小学生へ実施した。研究成果として、令和3年5月27日本航海学会第144回講演会において口頭発表及び論文投稿を行い、 令和3年12月『消滅可能性離島における海事史のデジタルデータ化とデータ活用方法についての一考察』が日本航海学会論文集第145巻に掲載され後日2021年度論文賞を受賞した。また、Asia Navigation Conference 2022に参加し口頭発表を行った。今後、日本航海学会第150回講演会(2024年5月30日)において、『瀬戸内海地域産業史を取り入れた練習船乗組員による海洋教育の実践と効果』の題名で口頭発表を行う予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 初年度から、大崎上島を中心に現地調査(資料収集・聞き取り調査)を行い、同島で行商船(正寶丸)を最後まで経営・運航されていた方への聞き取り調査や写真等の収集を行っている。正寶丸は、三重県鳥羽市海の博物館へ寄贈され陸上保管されているため、行商していた「マキハダ」の原料産出地である奈良県桜井市とともに現地調査の機会を早期に実施することを予定している。大崎上島における建造船調査を明治期から昭和期における建造船を調査するため、船舶原簿及び日本船名録の調査を行っている。現在、約20000隻以上のデータ抽出を行っているが、継続して日本船名録の調査を海事図書館及び大島商船高専図書館を訪問しデータの補完に努めている。これまでの取組で収集した資料を活用・展開するため出前授業を令和3年度~5年度において大崎上島町立小学校の生徒を対象に「大崎上島の造船の歩み(海運の歴史)」をテーマとして行い、併せて同テーマで体験航海を伴うフィールドワークを実施した。令和6年度においても実施予定。情報発信として、令和3年5月本航海学会第144回講演会において「消滅可能性離島における海事産業史のデジタルデータ化とデータ活用方法についての一考察」の題名で発表、令和3年12月日本航海学会論文集第145巻に掲載され、後日、2021年度航海学会論文賞を受賞した。 令和4年度も同様に日本航海学会での発表及びAsia Navigation Conference 2022に参加し口頭発表を行った。今後、日本航海学会第150回講演会(2024年5月30日)において、『瀬戸内海地域産業史を取り入れた練習船乗組員による海洋教育の実践と効果』の題名で口頭発表を行う予定。概ね順調に進展しているが、コロナ禍により自粛していた聞き取り調査を進め、今後も出前授業や研究発表に努める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.初年度からの研究調査結果を踏まえ、研究分担者と協力して、自粛していた現地調査(聞き取り調査)を引き続き行う。また、大崎上島町で建造された船舶を明らかにするため、日本船名録等の資料調査などを本校及び海事図書館、大島商船高等専門学校図書館等を訪問して閲覧調査を行い、引き続きデータの補完に努めることで、大崎上島に特化した建造船のデータベース化の完成を図る。また、大崎上島明石地区で江戸期から生産され、地場産業の一つであった「マキハダ」の材料である檜の産地である奈良県桜井市及び大崎上島最後の行商船「正寶丸」が寄贈され、陸上保管されている三重県鳥羽市海の博物館への訪問調査を行うなど、大崎上島のマキハダ製造などの地場産業に係る歴史資料調査の補完を行う。 2.大崎上島町の海事に関する資料収集及びデジタル化による資料保存を継続して行い、地域貢献として大崎上島町教育委員会が進めている大崎上島町史編さん作業への資料提供及び調査協力を行う。 3.収集した各資料を活用した郷土学習教材の作成と近隣小中学生への出前授業(郷土学習及び社会科支援)を5月~6月に教室での出前授業、9月~10月に、出前授業(校外学習)として広島商船高等専門学校所有小型実習艇ひかりを利用して、フィールドワークを実施し、受講対象の小学生への郷土愛醸成、社会科学習の支援及び郷土学習教材・出前授業の評価をアンケート・聞き取り調査を実施する計画である。 4.研究内容の情報発信として、日本航海学会等での発表・投稿を令和6年度においても「瀬戸内海地域産業史を取り入れた練習船乗組員による海洋教育の実践と効果」と題して口頭発表を5月30日に行う予定である。
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