研究課題/領域番号 |
19K03170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
菊池 聡 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (30262679)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 疑似科学 / 批判的思考 / 二重過程モデル / 超常信奉 / 科学教育 |
研究開始時の研究の概要 |
科学的な外見を持ちながら科学としての要件を欠く「疑似科学」は、多くの社会的な問題を引き起こしている。これらへの無批判な信奉は、一般には科学知識や科学教育の不足による非合理信念と考えられている。しかし、これらは必ずしも科学への好意や探究心と矛盾せず、正当科学と共通する態度も多く見られる。では、こうした科学の萌芽ともいえる態度が、発達や教育の過程で疑似科学信奉や超常信奉に陥ってしまうのはどのような要因によるものなのだろうか? 本研究では、批判的思考の態度や情報環境と認知特性の相互作用などについて、広範な層への調査実験データから明らかにし、疑似科学を入り口とした科学リテラシー教育の検証を試みる。
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研究成果の概要 |
疑似科学信奉(pseudoscientific belief)と、関連変数についての尺度調査を複数回大学生を対象として実施し、疑似科学信奉の構造と、そこに影響を及ぼす適応的な認知変数との関連を明らかにした。まず、疑似科学信奉は、その対象に応じた超常現象系、医療健康系、日常系の三因子が抽出された。これら疑似科学信奉は、二重過程モデルにもとづく直観的情報処理傾向や向社会的行動傾向、批判的思考のひとつである探究心と正の関連性が認められた。また超常信奉は時間割引課題と正の関連が認められた。これらは疑似科学信奉の強化が科学知識や教育の欠如によると考える一般的な欠如モデルを補うものと解釈された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
疑似科学は医療や健康、教育、環境問題など広汎な領域で社会に深刻な影響を与える場合があり、これに適切に対処することは、現代の教育や行政の喫緊の課題でもある。特に近年は陰謀論や反ワクチン運動などに疑似科学が深く関与していると考えられる。こうした疑似科学信奉に対抗するためには、正しい科学知識の教育で修正していくだけでは不十分であり、人が自然に備えている適応的な認知システムの副産物と理解する必要性が本研究の結果から示された。さらに、こうした疑似科学信奉が生じる過程についての知見は、汎用的な批判的思考(クリティカル・シンキング)の教材として有用であると考えられる。
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