研究課題/領域番号 |
19K03189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村本 由紀子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00303793)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 自己と他者 / 集団規範 / 暗黙の能力観 / 多元的無知 / 共有信念 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、集団の規範や共有信念が生成され維持されるプロセスについて、多面的かつ精緻な検討を行うことを目指すものである。具体的には(1)個々の成員が好ましく思っていない“不人気な”集団規範が、いかなるプロセスを経て維持・再生産されるに至るのか;(2)そのプロセスに集団成員の地位や役割の差異はどのように関わるか;(3)自他の立場や利害が異なる集団内葛藤状況において、合意や相互協力、公平が達成されるために鍵となる要件は何か、といった問題について、社会調査や心理学実験の手法を用いて探究する。
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研究成果の概要 |
本研究は、人々が相互作用を通じて暗黙の規範や共有信念を形成・維持していく過程について、マクロな社会環境要因に着目して明らかにすることを目的として行われた。第一に、災害避難や感染予防行動等に関する規範を題材として、社会環境要因としての人的流動性が評判低下懸念と規範遵守行動に及ぼす効果を検証した。第二に、共有信念としての暗黙理論(能力観)に着目し、指導者から学習者への影響過程を検討した。さらに、暗黙理論が、課題の選択肢の豊富さ、課題を変更することの容易さといった教育学習環境要因と、環境に応じた他者からの期待の認知・推測を反映して育まれる可能性について、学校教育場面を扱った調査によって検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、暗黙の規範や共有信念の形成・維持に影響を及ぼす社会環境要因に焦点を当てた。外在的な自然環境とは異なり、社会環境による影響の受け手である個人は、同時にその環境の作り手でもある。この相互規定メカニズムを検討することは、心の社会・文化的起源を探るうえで重要な意味を持つ。また、多くの人々にとって望ましくない「不人気な規範」が維持されている状況では、個々人の考え方を変えようとする教育的介入は有効とは限らず、環境変容によって初めて規範刷新への道が開けることもある。本研究の知見は、災害時の率先避難や男性の育休取得など、周囲の目を気にして抑制されやすい行動を変えるための一つの端緒となるだろう。
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