研究課題/領域番号 |
19K03203
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
森尾 博昭 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80361559)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | CMC / ダイナミック社会的インパクト理論 / 態度変容 / インターネット / ソーシャル・メディア / 態度 / フェイク・ニュース |
研究開始時の研究の概要 |
TwitterやFacebookといったソーシャル・メディアは、時間・空間の制約なく多数の人間を結びつけることにより、社会における情報伝達の効率化に大きく寄与する一方で、フェイク・ニュースや偽情報の蔓延といった負の側面をもっている。こうした負の側面は現代社会に大きな影響を与えているが、社会心理学的な検討は始まったばかりである。本研究では、こうした現象のメカニズムを、ダイナミック社会的インパクト理論(DSIT)の枠組みと態度の動態的理論から検討する。
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研究実績の概要 |
2022年2月にロシアがウクライナに侵略を開始し、「情報戦」と称したデマの流布によるプロパガンダがロシア政府により積極的に行われており、これに対応してソーシャル・メディアにおいて多くの人々が様々な意見を表明しはじめた。新型コロナウイルスとワクチン、ウクライナ侵略という一見関連性のない社会的事象に対して、支持者が重なっている、すなわち見掛け上の相関関係が生じているという研究報告もあるため、このインターネット上の社会的相互作用を取り上げることとした。ミクロレベルでの個人の情報処理はソーシャル・メディアでの情報収集と情報発信であり、マクロレベルでの集団における群化が結果として生じるとすれば、その間には関連が見られるはずである。個人の意見の斉一化とDSITの予測する集団の群化について検討する。前年度までは、ロシアやウクライナといったキーワードをもとに日本で行われたアンケート調査の結果を確認し、それぞれの国に対する態度、ウクライナに対する様々な支援、避難民の受け入れ、ロシアへの経済制裁といった様々な論点を整理した。これらの論点は日本の安全保障のあり方や外交の方針とも密接に関わり、関連性を持ち、有機的に連合している。同時に、大学生を研究参加者とした実験室実験を行うための準備も引き続き行った。今年度は引き続き、研究パラダイムとして用いるマウス・パラダイムをオープン・プラットフォームで実装するため、先行研究で用いられたプログラムを元に、実験条件の実装や測定の精度の確認を行い、残された問題点の解決に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初分析対象のソーシャル・メディアとして想定していたTwitter社が買収され、サービス名をXと変更した上で、従来は無料で取得可能であったコミュニケーションログが有料となり、事前に想定していた予算で賄うことができなくなったことに加え、海外における研究協力者が早期退職制度を利用することとなったため、実験への協力を仰ぐことができなくなったためである。
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今後の研究の推進方策 |
X社の提供するマイクロ・ブログX(旧Twitter)は買収された後、利用者が金銭的な報酬を得ることができるようサービス内容に変更が加えられた。このため、利用者のコミュニケーションの動機づけはサービス変更前とは大きく異なっている。具体的には、自らの投稿したメッセージが表示された回数に応じて報酬が支払われることにより、恐怖や不安、怒りといった人々の感情を動かすような内容の投稿が投稿者に優先され、内容の真実性は相対的に重要性を失った。また、単純に他者のコメントをそのまま複製することによって報酬を得ようとする国内外のユーザーを大量に生み出し(いわゆる「インプレゾンビ」)、プラットホーム上で行われているコミュニケーションの分析は困難になったといえる。そのため、マウス・パラダイムによる個人内のダイナミックな態度の測定へと焦点を当てた研究を行っていく予定である。
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