研究課題/領域番号 |
19K03204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大沼 進 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80301860)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 手続き的公正 / 社会的受容 / 無知のヴェール / 功利主義 / NIMBY / 正義 / 公正 / 社会的決定過程 / 不衡平 / ゲーミング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の射程は、功利主義vs正義・公正という二項対立図式を乗り越えた解決の道筋を探求することにある。本研究の目的は、自分の利害が不明な状況下(無知のヴェール)で決め方に同意した後、自分に不利な決定がわかったときに、その決定を受容できるための要件を明らかにすることである。具体的には、福島原発事故由来の除去土壌などNIMBY問題を題材に、ゲーミングとシナリオ実験を用いる。
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研究成果の概要 |
功利主義vs正義・公正という二項対立図式を乗り越えた解決の道筋を探求するため、無知のヴェールのアイディアを借りて忌避施設立地問題の合意形成を題材としたゲーミングとシナリオ実験を実施し、次の3点を明らかにした。1)利害当事者だけによる合意の失敗が無知のヴェールによる決め方の公正さ評価を高める。2)負担を複数箇所に分散させる配分の不衡平緩和が有効である。3)無知のヴェールによる決定方針の受容はあらかじめ候補地を決め打ちした決定方針よりも立地受容に繋がる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
社会全体にとって望ましい決定のあり方を問う問題は社会科学や哲学・倫理学の古典だが、実証研究が盛んになってきたのは近年のことである(亀田, 2022)。無知のヴェールを手続き的公正の観点から位置付け直し、社会的受容に手続き的公正が重要であるという従来の知見に積み重ねるかたちで、その有効性を実証的に示した点に学術的意義がある。利害当事者だけでは合意が困難なNIMBY(忌避施設立地)問題において、無知のヴェールを具現化可能な手法を提起しつつ、その意義と限界を示した点に社会的意義がある。
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