研究課題/領域番号 |
19K03213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
佐々木 美加 明治大学, 商学部, 専任教授 (90337204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 詐欺脆弱性 / 金融詐欺 / 金融心理 / 詐欺防止対策 / 説得 / 心理的リアクタンス / 金融行動 / 金融心理尺度 / 絵画認知 / 感情 / 特殊詐欺対策 / 詐欺被害防止 / アート認知 / アート関連コミュニティ / 絵画 / パーソナリティ / 絵画イコノロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は,特殊詐欺に至る心理的メカニズムを解明し,アートの力で高齢者を特殊詐欺から守る方法を探っていく。過去の研究から,金融知識が高いほど金融リスク認知が下がり,金融脆弱性が高まることが明らかになっていた。また特殊詐欺防止のために金融機関で行われる声掛けが,高齢者の心理的反発を招くケースも報告されていた。こうした心理的反発が生じない特殊詐欺対策として,絵画から教訓を与えるイコノロジーの効果を実験で検証する。実験では,絵を見て感じる詐欺への恐怖感からリスク認知が高まり,詐欺に警戒して金融脆弱性が改善する過程を明らかにする。実験結果を基に,絵画を用いた特殊詐欺脆弱性の改善プログラムを提唱する。
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研究実績の概要 |
2022年度までの研究では、オンライン上の実験により、詐欺に関する絵画刺激の呈示により恐怖感情が喚起され、恐怖感情が詐欺脆弱性を有意に弱めることが示された。また、金融心理の観点からは、インターネット調査では、年齢,リスクマネジメントや一般的信頼が高いほど詐欺脆弱性を促進し,自分の金融に対する能力が低いと認知するほど,詐欺脆弱性を抑制する効果が見いだされた。 2023年度は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により、対面の実験を実施した。これによりこれまでのオンライン上の実験結果と対面実験研究結果を比較検討した。その結果、金融行動の個人差として,損失不安が高いほど詐欺脆弱性を弱め,金融情報を考慮するほど詐欺脆弱性が強まることが示された。また,経済的リスクマネジメント得点が高いほど詐欺脆弱性が強まることが示された。すなわち損失不安が高い場合は,詐欺に被害に遭いにくくなるが, 金融情報を考慮し,経済リスクマネジメントを高めれば高めるほど,詐欺の被害に遭う危険性が高くなると考えられた。 詐欺に関する絵画刺激の影響については, 詐欺被害絵画の恐怖感情喚起効果は見出されたが、恐怖感情と詐欺脆弱性認知の関係が有意ではなかった。従って、オンライン上では画像での恐怖喚起が有効でも、対面では絵画の恐怖効果による詐欺防止効果は期待できないと思われた。近年はSNSを悪用する投資詐欺が増えているため、こうしたオンラインと対面での詐欺への危機意識に対する影響の違いは考慮するべき点だと思われる。 またオンライン上でも対面でも、リスクマネジメントや金融情報の考慮など金融情報の管理の高さは詐欺への脆弱性に影響しており、金融心理の個人特性に注目した詐欺防止対策の重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度まで新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年度~2022年度までの3年分の対面で行う研究が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響で遅れた研究は、延長年に遅れていた3年分の1年半ほどは進めることができた。あとの1年半の研究計画が残っているためやや遅れているが、再延長の期間に遅れを取り戻し研究計画を完遂することを目指している。
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