研究課題/領域番号 |
19K03215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
膳場 百合子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00548886)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | AI / 道徳能力 / 責任 / 感情経験能力 / 感情読取能力 / 因果認知 / 責任判断 / 主体性認知 / 感情認知 / 責任能力 / 文化比較 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人工知能(以下AI)が引き起こした被害に対し、一般の人々が誰にどれだけ責任があると考え、どのような責任処理(問題の解決)を望ましいと考えるか、特に日本人の判断にどのような特徴があるかを検討するものである。本研究では3つの日米比較web調査を通じ、AIに関する信念と責任判断について日本人の特徴を包括的に検討する。一つ目の調査では「AIのとらえ方」の文化差を検討する。二つ目の調査では「AIが関与した問題に対して誰をどのような根拠で人々が非難するか」の文化差を検討する。三つ目の調査では、「AIが引き起こした問題に対し人々がどのような処理を望むか」の文化差を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、人工知能(以下AI)が引き起こした被害に対する人々の責任判断について、①AIのとらえ方、②非難の判断、③人々が望む対処、という3つの観点から日米比較web調査を行い、文化差と文化共通性を明らかにする計画である。 【学会発表】2022年度は、国際比較文化心理学会で1件、日本社会心理学会で1件、それぞれウェブ調査の結果を発表した。国際比較文化心理学会の発表は、2021年に国内学会(グループダイナミクス学会)で発表した日米比較データを用いた発表で、主な知見は2021年度実施状況報告書に記したので、ここでは省略する。日本社会心理学会の発表は、2022年2月に実施したweb実験調査(国内調査)の発表で、AIが「感情経験能力」や「感情読取能力」を備えると、AIに道徳性や責任が知覚されやすくなる、という因果関係があるかどうかを検討したものである。報告した主な知見は以下である。 <知見>AIが感情読取能力や感情経験能力を備えているように見えるほど(=シナリオ内で、それらの能力があった、という情報が提示されるほど)、人々はAIに道徳的な能力を知覚しやすくなる。また、AIが感情経験能力を備えているように見えるほど、人々はAIに自由意志や責任を知覚しやすくなる。AIがもたらす被害に備える制度として、人々は、保険でまかなう制度を最も支持しており、次いで、(AIの)持ち主に賠償義務を負わす、開発・製造販売業者に負わす、AIに法的人格と所有権を与えてAI自身に賠償義務を負わす、といった制度を支持している。 【米国でのweb調査実験】上記の日本社会心理学会で発表した国内調査(AIの感情能力と責任の関係の調査)を、2022年度は米国でも追試した。現在、発表に向けて分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査、実験データの蓄積が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
【方策】今年度は最終年度で、最後の日米比較web調査を予定している。もともとの計画で文化差として「因果推測の文化差」と「規範の厳しさ」の文化差の両側面を考慮していたが、規範の厳しさについてはまだ調べていないので、最後の調査では、「規範の厳しさ」にも焦点を当てながら文化比較実験を組む予定である。 【計画遂行状況と課題】 本研究では、もともと「調査1:AIのとらえ方の文化比較調査」、「調査2:AIが関与した問題に対する責任判断(非難の判断)の文化比較調査」、「調査3:人々が望む問題処理」の3つの研究を計画していた。2020年度の日米比較web調査は調査1の内容を行い、2021年度の日本国内web調査と、2022年度の米国web調査で調査1と2にまたがる実験(AIのとらえ方がAIの道徳能力と責任の知覚に及ぼす影響を調べる実験)を行い、同時に、調査3の内容に該当する意識調査項目も含めて調査した(望ましい問題解決法の調査、被害に備えるための望ましい制度の調査)。 計画していた調査は、おおむね順調に進んでいるが、これまでの調査では因果認知の文化差に焦点を当てながら文化差を調べており、規範的な側面の文化差をまだ調べ残している点が課題である。最終年度にはAIが関与した問題への責任判断や、人々が望む問題処理の文化差を、規範の厳しさや、価値観と関連させて分析する調査を実施したい。
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