研究課題/領域番号 |
19K03228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
若松 養亮 滋賀大学, 教育学系, 教授 (50273389)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 大学生 / 職業選択 / キャリア / 勤労観・職業観 / 進路意思決定 / 教職 / 勤労観 / 就職活動 / 職業の意義 / 価値観 |
研究開始時の研究の概要 |
すでに収集してある自由記述データをもとに、「楽しく働くとはどういうことか」を測定する尺度を作成する。続いてその尺度を実施し、意味的な差異を反映し、かつ必要充分な構造をもった尺度になっていることを確認する。次の段階として、そこで測定された「楽しく働く」ことの含意が、実際の職業選択行動や志向性と関連していることを示す。続いて、その含意が、実習や就職活動といった経験に伴ってどのように変化するかを解明することで、大学生のキャリア発達の道筋にかんして、既存の理論を補強または再検討を行う。
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研究実績の概要 |
2023年は、2022年に引き続き、21年度末にとったデータの再分析とその論文化をまず行った。結果までは書き上げたところで、考察に取り組み、参照・引用する文献に十分なものがなく、論文の構成自体を再検討するフェーズで止まっている。 また22年度末に行った15名の教育学部4年次生への面接調査を詳細に分析し、紀要論文としてまとめ、学会でのポスターと併せて発表した。また量的研究の結果と併せて言えることを別の学会で口頭発表した。 具体的には、以下の点が到達である。(1)3回生末時点で最も選ぶであろう選択肢の選択理由のうち、志望度と相関するのは仕事の内情的側面(自身の悦楽、力量の発揮、他者との協働、他者への貢献)であったが、教職志望者において教育実習後の志望度の変化と関わるのはこのうち「他者との協働」が特徴的であり、実習を経ての社会的動機づけに注目する必要がある。(2)他方、仕事の条件面のうち「プライベートの重視」は、実習後の志望度低下と関わっていた。(3)面接調査からは、教職を目指さない者においても、最終的な就職先に選ぶ理由として「そこで働く自分の姿が見えること」と「そこで働く人たちに惹かれること」が決め手になっていた。(4)教職を選ぶか否かに大きく関わるのは前述の「プライベートの重視」であり、(1)で述べた「他者」(実習先の教師や、教師を目指す同級生)との非親和性も関わっていた。(5)一方、教職を選んだ者は、自分のはたらきかけに由来する子どもの反応に手応えを感じており、時間や金銭的な待遇を補う心理的な報酬になっていると推察されるとともに、達成経験からの効力感や、自律性の欲求・有能さの欲求が関係していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
このプロジェクトは、尺度化がうまくいかない期間が長く続いたために、教員養成学部生における知見を引き出すことに長期間を要してしまった。すなわち、教員養成学部生以外における「楽しく働く」ことについてはまだデータを採ることができていない。すなわち他の文科系学部や理科系学部における知見を得る必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
教育養成学部生における知見はおおよそ出揃ったことから、他の系統の学部に所属する大学生にも調査を実施し、教員養成学部生との共通点と差異点の分析を通して、彼らにとって職業の選択・決定を動機づける要素とその個人差を明らかにすることが必要である。それに際しては、多様な学部・地域の学生を対象とする必要から、インターネットによる調査会社に依頼し、データを採ることとしたい。その分析結果から、彼らの職業選択・決定におけるモデルを生成し、論文化を行う。併せて、21年度末の調査結果についても投稿までを行う。
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